今の鹿島で最も重要な男・土居聖真のKPIをフィルミーノのようにしよう

ここ最近の土居聖真が凄い。

清水エスパルス戦・ヴィッセル神戸戦・松本山雅戦の3連勝の原動力となった選手は、間違いなく土居聖真だった。このブログでは、私なりに感じた「土居聖真のKPI」について書いておきたい。

※KPI=key performance indicator (重要成果指標)の略。個人や組織の成果指標のようなもの。

土居聖真のKPIを変える必要がある

私は土居聖真のプレーについて「あと少し物足りない」と思っていた。

チームにとって大事な働きをしてくれていた土居ではあるが、彼の能力であればもっとゴールを奪ってほしいし、もっとアシストを記録してほしい。そう思っていた。

しかし、ここ3試合の土居聖真のプレーと鹿島アントラーズの攻撃を見ていて、その認識を改める必要があると思った。

あくまで「(ここ3試合のように)鹿島に点を取れるメンバーが揃っていて有機的な動きが出来るならば」という前提付きではあるが、この状態の鹿島であれば土居聖真が必ずしも得点に絡む必要はない。土居聖真のKPIはそこではなく、「攻撃(あるいは守備)をスムーズに構築する動きが出来ているか」になる。

土居聖真のKPIを「攻撃(あるいは守備)をスムーズに構築する動きが出来ているか」とするならば、ここ3試合の土居聖真の動きはパーフェクトに近いものだった。

過去の鹿島に所属していた選手ならば、本山が担っていたクレバーな役割に近い。

世界を見渡せば、リヴァプールのフィルミーノの持つKPIと、今の土居のKPIは近いのかもしれない。

彼らの他に得点を奪える選手がいるならば、彼らがゴールから遠ざかる事でチームの攻撃がスムースに構築されるならば、彼らのKPIはゴールやアシストではなくて良いはずだ。

絶対的なゴール数はサラーとマネに及ばなくても、フィルミーノの重要性はサラー・マネと肩を並べる(それでもフィルミーノはシーズン2桁は余裕で取っているので、数字だけでも十分な活躍ではあるが……)。

土居の動きによって他の選手の得点数が増すならば、土居がゴールから遠ざかる動きをすることは歓迎すべき事象だ。

ちなみに、フィルミーノの動きについて良く書かれているものがあるので、気になる方はこちらを↓

フィルミーノは、過小評価されている。 「ゴールから離れるCF」の真髄とは

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土居が徹底マークされた後の話

おそらくこれからのJリーグ、鹿島の対戦相手は何らかの「土居聖真対策」を講じてくるだろう。

土居が今の鹿島の中で最も重要な働きをしている以上、対策を講じられるのは不思議なことではないし、それは予測可能なことだ。

サッカーをゲーム理論で考えるならば、以下の事が起きると考えられる。

  1. 土居聖真が活躍する(今)
  2. 土居聖真のマークが厳しくなる(次)
  3. 土居のマークが厳しくなる分、他のスペースに綻びが生まれる(その次)

今の鹿島が1のフェーズ、これからの鹿島アントラーズは2~3のフェーズに移行していくだろう。

土居のマークが厳しくなることは、鹿島にとって悪いことばかりではない。土居個人はマークに苦しみ、もしかしたらここ3試合のような活躍はできなくなるかもしれない。

でも、それで構わないのだ。

サッカーは「決められたピッチの広さと決められた人数で戦うスポーツ」なので、土居へのマークが厳しくなる分、他のスペースには必ず綻びが生まれる。もしもサッカーが戦争ならば、土居を封じるために12人目の選手を投入すれば良い。だがサッカーは必ず11人以内で行わなければならない。

「土居がピッチにいる」というそれだけで、鹿島には戦術的な優位性が生まれることになる。対戦相手の「打ってくる手」がある程度予測出来るようになるからだ。

鹿島はマークに苦しむ土居をあえて使って攻撃を構築してもいいし、あえて使わずに構築してもいい。しかし対戦相手は、基本的には土居の行動を制限する所から始めなければいけない。この両チームの「スタート地点」の差は、ことのほか大きい。

「最初はグー」を必ず出さなければいけない人に対して、最初からパーもグーも出せる人の優位性みたいなものを想像してもらえると分かりやすいかもしれない。

これがマークが厳しくなった時のエース選手への評価軸だ。調子の良いエース級の選手はピッチにいるだけで戦術的な優位性をもたらしてくれることがある。

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土居不在時の戦い方

おそらく鹿島は土居聖真を中心とした攻撃を当面は続けていくだろう。

問題は土居がいない時の戦い方。

怪我をしにくい土居だっていつか怪我をするだろうし、疲労も溜まってくるだろう。夏場の連戦では休ませる試合が必ず出てくる。

そこで鹿島が土居のいない攻撃を構築出来るのか、ということは今から考えておきたい。

おそらく松本山雅戦の途中から白崎を土居のポジションに入れたのは、「土居不在時に今のサッカーを継続できるのか」という意味合いが強いのではないかと感じた。

土居のこなす難しすぎる役割の代役候補として、インテリジェンスの高い白崎に白羽の矢が立ったわけだ。

土居対策を講じられた後や、土居不在時にもここ3試合のような試合ぶりを続けられるならば、いよいよNEW鹿島のタイトル奪取に期待が持てるようになってくる。

まずはこれからの対戦相手の出方や鹿島の戦い方を観察しつつ、ようやく今年の鹿島に見えてきた(戦術的な)明るい兆しを楽しみにしていきたい。

 

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