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2018年Jリーグ最終節-大岩監督は勝利を目指したのか?-

2018年Jリーグ最終節、サガン鳥栖をホームに迎えたこの試合で鹿島アントラーズは引き分けた。結果はJリーグ3位。最低限の結果(ACL出場権獲得)を得ることはできたが、良い結果(Jリーグ2位)を得ることは出来なかった。

この試合において、私はどうしても気になったことがある。それは「大岩監督は勝利を目指したのか?」という点だ。「もう終わったことなので気にしない」という考え方もあるだろうが、私はどうしても細かいことが気になるタイプなので、同じような感性の鹿島サポーターの方はこの記事にお付き合いいただけると幸いだ。

試合の前提条件

まずは、この試合の前提条件から振り返りたい。

  • 鹿島も鳥栖も引き分けで最低限の目標を達成可能(鹿島は3位、鳥栖は15位)
  • しかし、鹿島は引き分けでは2位になれない
  • 鹿島が2位になるには勝利が絶対条件で、かつ札幌の引き分け以上が必要
  • 2位と3位の獲得賞金(理想強化分配金も含む)の差は4億1千万円

つまり、鹿島が「3位だけを獲得できればOK」と考えるチームなら引き分けでOK。そうではなく、2位及び賞金を狙いにいくなら勝利を目指す必要がある。そういう状況だ。

詳細は、以下の記事で記載してあるので、未読の方はご参考にしていただきたい。

2018年Jリーグ最終節で談合試合が起きる可能性を考えてみる

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大岩監督のコメント

まずは試合後の大岩監督のコメントから振り返りたい。

【ハーフタイム】後半も一体感をもって戦い、必ず先に1点を取ろう!

【試合後】今日は勝利で終わりたかった、その一言。鳥栖の状況も把握していたが、前半から思ったような戦い方ではなかった。そのなかで、相手に少し合わせてしまったのかもしれない。そこはすごく反省している。

引用元:鹿島アントラーズオフィシャルサイト

上記のように大岩監督は語っている。つまり、世に出ている情報においては、大岩監督はこのゲームを「勝ちに行った」ということになっている。

勝ちに行ったように見えなかった理由

大岩監督は試合後に勝ちたかったと語るが、私はその言葉を素直に信じることが出来なかった。その理由を挙げていきたい。

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難しい状況

まず、この試合における状況が非常に難しかったことは先に述べて起きたい。特に監督の目線では、「最悪のシナリオ」である4位転落が考えられるシチュエーションだった。なぜならば札幌が広島に2点を先制していたためだ。この状況でもしも鹿島が1点を失えば、鹿島が4位転落となる。その後広島が2点を返したとはいえ、大岩監督の頭には常に「最悪のシチュエーション(4位転落)」がチラついていたのではないか。という推測は立てることができる。

つまり、鳥栖が引き分け狙いの姿勢を取るならば、そこに乗っかってラクになってしまいたくなるような状況であったことは間違いない。そのかわり、4億円もの賞金を取るチャンスは逃すことになるのだが。

NHK実況のコメント

この試合を中継していたNHKの実況アナウンサーは試合中、

「大岩監督が0-0のジェスチャーをしている」

このように伝えていた。私もそのシーンを見たが、確かに「0-0で良い」というジェスチャーにも見えた。しかし、音声は拾えていないので、こればかりは推測の域を出ない。違う意味合いのジェスチャーだった可能性も、もちろんある。信憑性は微妙なラインだ。

不可解な選手交代

このゲームのマネジメントにおいて、不可解な選手交代があったと思っている。この試合の選手交代は以下。

・65′ 遠藤 康 → 土居 聖真

まず遠藤から土居の交代。これは勝ちに行ったと考えてもおかしくない采配ではあるが、土居の動きに積極性があったようには見えなかった。得点を奪いに行くというよりはむしろ、試合をスローダウンさせるようなプレーがいつもより目についた。ベンチからそのような指示があったのかな?と勘ぐってしまうようなプレーだった。

・82′ 安西 幸輝 → レアンドロ

この交代は、「勝ちに行く」にしては疑問が残るものだった。まず、安西はこの試合を通して不調だった。鳥栖のコンパクトな守備の前に、持ち前のスピードを殺されていた。この試合を勝ちに行くならば、安西はもっと早くに交代するべきだった。そして起用したのがレアンドロという点も疑問だ。勝ちに行くならば、怪我明けのレアンドロではなく安部をチョイスするのが妥当だろう。「勝ちに行く」ならば交代を切るのが遅く、尚且つチョイスも良くない。「引き分け狙い」という意図であれば納得感のある交代であった。

・90’+4 小笠原 満男 → 安部 裕葵

もっとも問題があるのはこの交代。得点を欲するチームが後半ロスタイムに選手交代枠を使うことは有り得ない。どんなにスーパーな選手がいるとしても、時間の浪費にしかならない交代だ。判断が遅すぎる。これは「引き分け狙い」のチームの采配だ。これで「勝ちたかった」と言われても、納得する方が難しい。

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勝ちに行ったと思える要素

一方で、選手からは「この試合を勝ちに行っている」と思わせてくれる要素を試合中に見受けられた。

CKで上がったセンターバック

80分以降、鹿島はCKを得た際にはすべての場面でCBの2人が相手陣地に上がった。これは得点を狙いにいってるチームの姿勢だ。引き分けで良いならば、わざわざ守備力の高いCBが上がることは無い。

鳥栖の時間稼ぎに対する対応

そしてサガン鳥栖の後半ロスタイムの時間稼ぎへの対応。鹿島は猛然とプレッシャーをかけてボールを奪いに行った。このプレーは引き分けを狙っていないことを感じさせてくれた。前述のCK時のCBと合わせ、選手たちはやはりこの試合で勝利を目指していたように私は見えた。

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この試合で起きていたこと。

これらの事象を纏めて仮説を立てたい。おそらくだが、大岩監督の「この試合を勝ちたかった」という言葉は本音だと思う。しかし、「札幌が勝って鹿島が失点すれば4位転落」という難しいシチュエーションに置かれた大岩監督は、判断の遅さが際立ち、大胆な采配を振るうことを避けた。

この試合においては、「札幌と広島が同点」という状況を「怖い(4位転落の恐れあり)」と考えるか、「チャンス(2位獲得のチャンス)」と考えるかは、考え方の分かれ道だと思う。

前者は安全な策を取るだろうし、後者は大胆な策を取るだろう。私個人は、「札幌×広島が同点」というのは最大のチャンスだと考えてしまう。なぜならば、鹿島は仮に失点して負けたとしても3位を維持できる状況だ。ローリスクハイリターンという珍しい状況と考える。もちろん札幌が3点目を取る確率だって十分にあることは承知の上で、攻めにいきたい。仮に不運が重なって4位に転落したって、まだ天皇杯があるというオマケ付きだ。

そしてこれは情緒的な話になるが、後者の「チャンス」と考える采配を選んだ方が、3万人以上集まってくれた観客に対して「誠実」だ。

一方で大岩監督は「勝負師」ではなく、「リスクを極力避ける監督」なのだと思う。これは賛否両論あるだろう。今節における大岩監督の振る舞い(采配)を私はあまり支持できないが、ACLを獲った実績は十分に評価されるべきだし、これから大岩監督は数多くのタイトルをもたらしてくれるかもしれない。

まずは今シーズン、もう一度戦う姿勢を取り戻し、最後の天皇杯とクラブW杯のチャンピオンを目指したいところだ。

 

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