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19歳の安部裕葵に頼るしかなかった2018年最低の試合【クラブW杯準決勝レアル・マドリー戦】

クラブW杯2018準決勝、レアル・マドリーとの一戦は今シーズンの鹿島アントラーズの中で最低の試合となった。少なくとも私はそう感じた。この記事では一部の鹿島の選手を批判的に書いているので、次の3位決定戦に切り替えたい方はここでブラウザを閉じることを推奨する。

心が折れた鹿島アントラーズ

私が最も残念だったのは負けたことではない。鹿島の選手の心が折れているように見えたことだ。戦う姿勢を試合終了のホイッスルまで継続できなかったことだ。

サッカーの試合は数多くの要素が絡んで勝敗が決まる。フィジカル、技術、インテリジェンス、チームワーク、環境、コンディション、メンタル、戦術、戦略、準備、モチベーション、運。

この試合が始まる前、私は「客観的に見れば鹿島が勝利する確率は10回に1回くらいかもしれない。でもその1回を今回持ってくればいいだけ」と思っていた。しかし蓋を開けてみれば、昨日の鹿島は10回やって10回負けるようなチームだった。

先程述べた「多くの要素」のうち、鹿島がレアル・マドリーより劣っている要素がある。フィジカルや技術、インテリジェンスは、それにあたるだろう。一方で、レアル・マドリーにだって勝てる要素もある。その中で選手たち自身がコントロールできるのが「メンタル」であり「モチベーション」だ。心技体で言う「心」の部分。

10回に1回の勝利を今回持ってくるなら、「心」だけは譲っちゃいけない。それさえ負けるならば、100%マドリーには勝てない。100%だ。この試合の大前提だ。

そしてそれは、「戦略」や「戦術」を実行するための最低条件でもある。心が折れている選手に、どんな優秀な戦術を授けても勝利は訪れない。いつもは戦術についてアレコレ書いているこのブログだが、今回は戦術については書かない。昨日の鹿島は戦術を語るレベルになかったからだ。昨日の鹿島の選手なら、グアルディオラを呼んだってクロップを呼んだってレアル・マドリーには勝てない。

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19歳の安部に引っ張ってもらったチーム

レアル・マドリーとの試合において、特に後半ラスト20分、ボールを奪いに行く意思を見せたのは安部と安西と土居だけだった。その中でも安部からは「負けたくない、負けたくない」という強い意思を感じた。いや、正確には安部の心もグシャグシャに折れていたのかもしれない。それでも、「俺は折れてない」と最後まで強がって意地を張ってくれた。

安部が見せてくれた「意思」だけが、「10回に1回」を呼び寄せる原動力になるというのに、他のほとんどの選手からはこの意思を感じることは出来なかった。レアル・マドリーが攻めてくるのを構えて待つだけ。安部が一人でボールを奪いに行っても呼応する選手は土居と安西だけ。ボールを奪ってもボールホルダーを追い越す選手はいない。ボールを前に運べてもDFラインを勇気を持って上げることは無い。コーナーキックでチャンスのはずなのに下を向いている選手が多い。声を張り上げる選手さえいない。勝てるはずがない。多くの選手の心が折れているように見えた。

安部が試合後に泣いていたのは、マドリーに負けて悔しかったから?

いや、私は違うと思う。チームメイトが自分と同じ熱量を持っているように感じなかったからだと思う。自分の動きにもっと呼応してほしかったんだと思う。個人だけでなくチームとしても、もっともっとバチバチに戦いたかったんだと思う。

点を取られたり、VARでゲームが止まった時に味方に声をかけている選手がいなかった。このチームは、まだ小笠原が鼓舞しないと気持ちを見せられないチームなのか?曽ヶ端が激を飛ばさないとテンションが上がらないのか?ジーコの激励がいちいち必要なのか?

ピッチに倒れたマドリーの選手に「早く立て!」と迫った選手はいなかった。浦和レッズや川崎フロンターレには出来るのに、マドリーには出来ないのか?

安部がFWなのに自陣ペナルティエリアまで戻った時、「俺たちが守るからお前は前線にいろ!」と声をかける選手がいなかった。昌子、内田。19歳の入団2年目の選手を支えるのは君たちの役割だろう。支えてもらってどうする。

ネガティブトランジションの時に、ゆっくりランニングしてゴール前に戻ってくる選手が多かった。優磨と健斗の分も戦うんじゃないのか。その自覚を持たせるために2人をUAEに連れてこなかったんじゃないのか。今回出番の無かったセレッソ戦、レイソル戦で試合に出た選手たちは懸命に走っていたじゃないか。もうあの試合のことは忘れたのか。

疲労で足が動かなかったのかもしれない。それは仕方ない。それなら、ファウルしてでも止めにいけ。ユニフォームを引っ張ってでも止めてみせろ。レフェリーが笛を吹かない僅かな可能性に賭けてみろ。相手に攻められるのを傍観してるよりマシだ。

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私は悔しかった。マドリーに負けたことよりも、選手の心が折れているように見えたのが悔しかった。試合後の選手のインタビューや発言を見ても、今はあまり信頼できない。例えば鹿島アントラーズユースの選手たちは、高円宮杯の決勝で広島ユースに負けていても、最後の笛が鳴るまで諦めなかった。同じ敗戦でも、今回の鹿島の試合よりもユースの試合の方がずっと価値のある試合だった。

もちろん私が鹿島を嫌いになることは無い。ただ、今回の試合で大きく落胆したことは間違いない。簡単には切り替えられない負け方だった。切り替えて3位決定戦。とは今はなれない。

欧州王者と南米王者の両方と試合が出来る良い経験?そんな経験は要らない。優勝以外の経験なんてクソだ。安部に頼るしかなかったチームが恥ずかしい。悔しい。今はそれだけだ。

 

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