外国人枠5人への増加は鹿島にとってプラスか?決算から読み解いてみる

外国人枠5人への増加は鹿島にとってプラスか?決算から読み解いてみる

かねてから噂されていたが、Jリーグの外国人枠についてこんなニュースが流れてきた。

J1外国人枠3から5へ 最大7人出場可能性

https://www.nikkansports.com/soccer/news/201810170000104.html

J1の外国人枠を3人から5人に変更することを協議した。各クラブ代表者から異論がなく、25日の理事会で正式決定する予定だ。アジア枠1+提携国枠は残すため、J1は7人以上の外国籍選手が出場する可能性がある。(日刊スポーツ)

この変更はどうやら既定路線のようだ。

気になるのは外国人枠の変更は鹿島アントラーズにとってプラスに働くのかどうか?という点だ。そこについて、過去のデータから考察してみたい。

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財務諸表(収支)から考察

まずは金銭的なところから考察したい。ご注意いただきたいのは、「外国人を2名加えた方が強くなるかどうか」の話ではなく、「そもそもその枠を使うことができるほど余裕はあるのか?」という話をしたい。

鹿島は外国人を+2人雇う余裕はあるのか?

まずは2016年と2017年の、鹿島アントラーズの決算を確認してみよう。いずれのデータも、Jリーグが公式に公開しているものから拝借している。

▼2016決算

▼2017決算

着目してほしいのは「人件費」だ。2016シーズンは19億2900万、2017シーズンは23億8200万の人件費だ。実に4億円も追加投資している事がわかる。

これは、

  • 2016Jリーグ優勝やクラブW杯で健闘したことによる選手の給与増加
  • DAZN導入初年度の賞金獲得を狙うための大型補強(レオ・ペドロ・スンテ・レアンドロなどの獲得)

これらが大きな要因だろう。あくまで憶測に過ぎないが、2018年の鹿島の人件費は2017シーズンと同等か、それ以下と考えられる。

仮に、ここにレオ・シルバと同じ給与レベルの選手を2人雇うとしよう。ネットで調べるとレオ・シルバの推定年俸は7000万~1億程度とみられているようなので、1人あたり1億と仮定。移籍金として1人あたり2億円と仮定。強力な選手を2人雇うならば必要な費用は併せて6億円

6億円の規模感が分からないと思うので調査しよう。よく見ると鹿島の営業収益は2016年が55億、2017年は52億だ。※2016年はJリーグ・で優勝、クラブW杯でも決勝進出したので「その他収入」が高い。

仮に2017年と収入が変わらないと仮定するならば、収益に対して11.5%にも及ぶ人件費を新外国人選手に使わなければいけないことになる。鹿島としても、何年も赤字経営をするのは避けたいはずなので、この6億円・11.5%は非現実的だ。

しかも、これはレオ・シルバクラスの選手の話である。レオより更に大物、例えば年俸3億5000万円・移籍金12億円の名古屋のジョーレベルを獲得することは、鹿島の2016-2017年の収益ベースでは不可能ということになる。収益の約30%を1人の外国人選手に使うことになる。

DAZN・メルカリ。収益が増えれば2人の増員は可能か?

鹿島の収益ベースでは、2人の外国人選手の獲得が現実的に難しいというのは2017年ベースの収益の話だ。もしも収益を伸ばせるならば、人件費にさらなる投資をすることは可能だろう。そして2018年以降の鹿島には収益の「アテ」がある。

DAZNマネーだ。

まず、均等分配金で、これまでよりも1.7億円増加。そしてみんな大好き「理念強化配分金」。鹿島は2017シーズンに2位だったため、18年に4億円、19年に2億円、20年に1億円の支払いが行われるはずだ。

そして忘れてはならない新スポンサー様、メルカリ

メルカリの契約については詳しくは明かされていないが、一説によると1年2億円の広告収入という噂だ。

これら全てを合わせると2017年の収益ベースよりも、2018年や2019年は7億円程度の増収があるはずだ。入場料収入や物販収入、その他広告収入が2017年と変わらないという前提ではあるが、外国人選手をもう1人~2人雇う余裕は出てきそうだ。しかも2019年はペドロに払っていたであろう約1億円も浮く。

これら収益を全て人件費に回すとは考えにくいが、今は一旦「鹿島は新外国人2人を獲得することは不可能ではない」と結論付けておきたい。

ちなみにDAZNの強化分配金は2018シーズンも継続されるため、今シーズンに3位以内を確保することは資金的にも重要だ。3位と4位では2億円近くの差が出る。

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鹿島以外のチームは?

鹿島アントラーズは、雇おうと思えば新外国人を2人程度を雇えそうな経営状況であることは分かった。では、他のJリーグクラブはどうだろう。2017年のデータを確認してみた。

まず、同じく強力な外国人選手の年俸を1億円、移籍金を2億円と設定する。鹿島と同じように、あくまでデータを見る限りで、6億円を人件費に追加できそうなクラブは以下だ。

浦和レッズ・川崎フロンターレ。この2クラブは鹿島と同様「健全にクラブを運営した上で、更に人件費に投資ができる」という気配を感じる。マリノスとガンバもやり繰り次第で投資ができるかもしれない。

そしてこれらのクラブに加えて忘れてはいけないのが、ヴィッセル神戸・名古屋グランパス。収入ではなく、親会社からの資本投入で一発解決するチームだ。実際にはこれが一番恐い。

逆にこれらのチーム以外は、外国人枠が増加されてもいきなり強くなる確率は現実的には低いのではないかと思う。もちろん、安価で若いカイオのようなスーパースターを見つけてくるクラブが出てくるのかもしれないが。

まとめ

繰り返すが、今回の記事は「外国人選手を獲得したほうが強くなる」という趣旨の記事ではない。あくまで「その余裕があるか」という焦点だ。

今年のフリークスには「大物外国人獲得」の話もチラッと記載されていた。鹿島のことだから、妙なお金の使い方はしないだろうと信じているが、一方で、より大きな成功を掴むためには適切な投資が必要なことも事実だ。

鹿島は外国人枠をどのように活用するのか、気は早いが楽しみだ。

 

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