三竿健斗のプレーは何が凄まじいのか?~浦和レッズ戦で見せた圧巻のパフォーマンス~

久しぶりのブログ更新。今回は浦和レッズ戦で圧巻のパフォーマンスを見せた三竿健斗について書きたい。

このゲームが怪我からの復帰戦となった三竿。私は試合を見ながらなんとなく「三竿が凄いな……」と感じたのだが、改めて三竿だけに注目してゲームを見返し、そのように感じた理由をいくつかのセンテンスに分けて言語化しておきたい。

見逃せない個人スタッツ

まずはデータから紹介しよう。(※独自集計のため参考程度)

守備面

  • 1対1のデュエル(ボール奪取):9回中7回成功
  • インターセプト:7回

1対1のデュエルに関してはほぼ全勝。2回成功しなかったものの、その2回も相手に抜かれたわけではなかった(引き分けのようなイメージ)。

インターセプトも7回も成功させた。

三竿が「浦和ボールを鹿島ボールにした回数(ボール奪取とインターセプトの合計)」は、実に14回を数えた事になる。14回浦和の攻撃を阻止し、鹿島の攻撃機会を増やしたのだ。

攻撃面

  • ショートパス:33回中32回成功(96%成功)
  • ミドルパス&ロングパス:8回中6回成功(75%成功)
  • シュートアシスト:3回

攻撃面も素晴らしかった。

三竿は自らボール奪取した攻撃の機会を、ほとんどミスすることなく鹿島の攻撃に結びつけた。ロングパスを2回失敗したが、その2本は相手の裏を1発で狙ったパスだった。浦和のDFラインを押し下げる意味でも、ポジティブなミスと言って良いだろう。

特筆すべきはシュートアシスト3回だ。このゲームにおける三竿は、レオの後方でスペースと時間をコントロールする役回りが多かったにも関わらず、シュートアシストにも絡んでいる。

スタッツだけを見ても、このゲームにおける三竿の素晴らしさは理解いただける事だろう。

ビルドアップの指針

スタッツ以外にも三竿の進化と素晴らしさを書き留めておこう。

まず驚いたのは、三竿が鹿島のビルドアップの指針になっていた事だ。

三竿は首を常に振り、鹿島のボールホルダー(主にCBやSB)に向けてビルドアップの方向を常に指差していた。

チームのビルドアップを司るその姿はさながら、チェルシーに所属するジョルジーニョのようだった。

浦和レッズは前線からプレスをかけてくるが、基本的な構造としてはDFラインを1枚多く余らせて守っている。それゆえ、鹿島のビルドアップに対しては1枚の不足が生じる。

フィールドプレイヤーは10人対10人なので、DFラインを余らせると前線には必ず不足が生じる。

その”相手の枚数の不足”を三竿は常に首を振って確認し、ボールをそこに誘導するように、スンヒョンやブエノに指示をしていた。もちろん”相手の枚数の不足”は自分自身に訪れる事もある。

その時は自分で”受けて捌いて”をきっちりこなしていた。スタッツで示した通りの正確性で。

正しい身体の向き

三竿の攻撃の進化は1つの要素(ビルドアップの指針)では語れない。

身体の向きにも着目したい。

三竿は基本的にゴール方向へ身体を向けてボールを受けている。

ボランチで身体の向きが悪い選手はサイドからボールを受ける際にタッチライン方向に身体を向けてしまう。

そうなると同サイドにしかボールを配給出来ない。逆サイドが見えないし、逆サイドに捌くためにはターンをしなければならないからだ。

三竿はそうではなく、サイドからボールを受ける時にアングル(角度)を付ける事によって身体をゴール方向へ向けていた。

パス成功率の高さも、おそらく身体の正しい向きと関係している。身体の向きが正しいからこそ、視野が確保されて”浮いている選手”を見つける事が出来る。いたずらにボールを後退させる必要も無い。ロングボールを蹴るための十分な姿勢も確保出来る。

守備の役割分担と指示

三竿は守備でも白眉の動きを見せた。

言及しておきたいのは役割分担の明確さ。三竿は他の選手とのコミュニケーションを絶やさず、マークの受け渡しがスムーズだった。

浦和はファブリシオが縦の動きを入れ、三竿のゾーンからブエノのゾーンへ移動する事がしばしばあった。

そこでも三竿はハッキリとブエノにマークを受け渡し、自分のゾーンを守ることでピッチ中央を締めた。

三竿が守備の受け渡しをハッキリと指示する事でブエノの迷いも消える。ブエノから迷いを消せば、どんな相手も怖くはない。

鹿島がバイタルエリアからチャンスを殆ど作らせなかったのは、三竿の守備のオーガナイズとポジショニングが秀逸だった事が強く影響しているだろう。

バイタルを消す動き

守備面でもう一つ、着目したい三竿の動きがあった。

それは鹿島の得点後。三竿は「ボールを奪いに行く守備」から「バイタルエリアを消す動き」にシフトした。ボールを奪うのではなく、スペースを消して中央に生じる”隙”を消した。

自身がボールを奪いに行って、万一ボランチのスペースを使われた時は致命傷になりかねない。

極力CBとの距離を縮め、”あえて大きく動かない”という選択をした。

ゲームを無失点のままクローズさせるための動きだ。

精神の充実

攻撃・守備、いずれも進化が見られた三竿ではあるが、もう一つ精神的な充実にも触れておきたい。

この日の三竿は熱い気持ちを見せてくれたが、レフェリーを敵に回すような好戦的な姿勢は見せず、レフェリーと「会話」をしていたように見えた。また、相手選手への一定のリスペクトを欠かす事も無かった。岩政大樹の現役時代を彷彿とさせるような姿勢だ。

これまでの三竿は試合によっては熱くなりすぎる事もあったが、この試合では更に1つ高いレベルの精神状態に見えた。

ハートは熱く、頭はクールに。

サッカー選手として理想的な精神状態だ。

三竿と戦える時間

このゲームにおける三竿の充実したプレーぶりを見て、私は1つの事を感じた。

おそらく三竿健斗と共に戦える時間はそう長くない。あと1年、半年かもしれないし、今シーズンいっぱいかもしれない。

この感覚は、海外移籍前の大迫や昌子に対しても感じていた。

それくらい三竿のプレーレベルは高い。

三竿健斗と戦える貴重な時間を大切に、今シーズンは1つでも多くのタイトルを獲得したい。

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