ザーゴ式なのか?遠藤康システムなのか?

今回は昨日に公開したブログの続編。今の鹿島の状況についてもう少し深く考察したい。

ザーゴ式の浸透によるものなのか?

昨日の記事では、鹿島の結果を上向かせている遠藤康のプレーについて書いた。

鹿島の結果を上向かせている遠藤康は、ピッチの上で何をやっているのか?

鹿島の結果が上向いてきた立役者として、遠藤康の存在があった事は間違いない。

しかし同時に、今の鹿島に対しての懸念もある。

それは「ザーゴ式フットボール」が結果に結実しているのか?という懸念だ。

今の所の鹿島は遠藤康の機転に頼って攻撃を機能させている側面が拭えない。つまり「ザーゴ式」ではなく「遠藤康システム」によって攻撃のバランスが成立していると感じられる。

それは鹿島がザーゴに求めた事と乖離が生まれているのではないか?

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属人性のあるチーム

今の鹿島が「遠藤康システム」によって機能していると仮定した場合、それは昨年までの鹿島からの進化とは言えない。

去年のGW~夏にかけての大岩剛監督による鹿島も、属人的な要素が非常に強かった。トップ下に入る土居聖真や左SBの安西の突破力に、攻撃を委ねる事が多いチームだった。

有望な選手の欧州挑戦が若年化していき、主力の入れ替わりが激しくなる昨今において属人的なチーム作りはリスクが高い。

選手の質によって結果が左右されるのではなく、チームの戦い方やゲームモデルを構築する事で、人材に流動性があっても安定的な成績を残したい。

そんな思いが、ザーゴを招聘した理由の1つにあったはずだ。

鹿島生え抜きの遠藤康がチームの窮地で活躍してくれるのは嬉しい限りではあるが、一方で「それだけではダメ」という危機感が私の中にはある。

遠藤康の機転に頼る攻撃ではなく、チームとして攻撃のデザインをもう1つ構築してもらわなければ、ザーゴがやってきた意味は無い。

遠藤康ロールを誰かに託すのか?もう1つ攻撃をデザインするのか?

遠藤康が何らかの事情で試合に出られなくなったと仮定しよう。

そうなった時に鹿島が勝ち続けるために、ザーゴがアタッキングサードでの崩しにどのような手を打つのかという事には注目したい。

2つ、パターンが考えられる。

  1. 「遠藤康ロール」を、誰かの選手に託す
  2. もう1つ攻撃をデザインする
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「遠藤康ロール」を、誰かの選手に託す

1つ目は、遠藤康と同じ役割を別の選手に託すこと。

「遠藤康システム」で直近は結果が出ている事もあり、おそらく当面はこちらの手段を取るのではないかと思う。

直近の起用を見ていると、「遠藤康ロール」は白崎に託されそうだ。

インテリジェンス、技術、運動量、決定力。いずれも非凡なセンスを兼ね備える白崎なら、遠藤康ロールを担えるかもしれない。

私個人的には、荒木遼太郎にも期待したい。

中央でのプレーも問題なく、ボランチ経験者という事でボランチ近辺での組み立てもレベルが高い。何より、相手の守備ブロックの歪みを突いてポジショニングする事に長けている。

荒木は、遠藤康が見せている仕事を超えるレベルのクオリティを見せられる選手だと思う。(ザーゴはサイドでの起用を考えていそうだが…)

染野唯月も同様に遠藤康ロールを担える選手として期待している。

染野は、白崎と並んで2番手という位置づけのように見える。しかし今のところ、染野が起用されたゲームではチームとして攻撃が機能していない場面が多く、難しいプレーが続いていた。

サイドからの放り込みに突っ込みに行かなければいけないシーンが多く、染野本来のポテンシャルを発揮するには至っていない。

しかし足元の技術があり、狭いスペースでもボールをコントロール出来る染野は、遠藤康のいないチームでも攻撃を活性化させられる存在になるだろう。

もう1つ攻撃をデザインする

「遠藤康ロールを誰かに託す」のではなく、こちらの方がチームにとっては本質的なテーマとなる。

アタッキングサードにおける崩しのデザインに、もう1つ手を加える事だ。

ザーゴに変わってから、ビルドアップからアタッキングサードまで「ボールを運ぶ」部分に関しては、徐々に進歩が見られていると思う。

相手のプレッシングを外す場面も多く、「他の選手が出ても近しい動きをするだろう」という所までは来ているように見える。

しかしその先、アタッキングサードの崩しについては「アウトサイドレーンからのクロス」というパターンが多いだけで、まだまだ発展途上な感が否めない。

エヴェラウドや綺世の高さに頼るか、SB陣のクロス精度に祈るか、という勝負になっている。クロス数に対しての得点数も少ない。

例えば西大伍がいた時なんかは、彼が工夫して味方との連携から、「アウトサイドレーンからもう1つ内側(ハーフスペース)」まで崩してからサイドを攻略する事が多かった。例えば安西はアウトサイドレーンでの1on1を制してもう1つ内側まで侵攻した。

おそらく「ペナ横(相手PAの横のスペース)まで運んだ後」のデザインをいくつか用意しておけば、鹿島の攻撃はレベルアップ出来るだろう。

今月号のフリークスでレオが「ザーゴはものすごい数の選択肢とオプションを持っている」と語っていた事からも、おそらくザーゴ自身も無策というわけではなく、まだ引き出しの全てを伝えられていないだけ(あるいは選手がまだ実行出来ていないだけ)なのだろうとは思う。今後に期待したいポイントだ。

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注目したいミッドウィークのゲーム

鹿島のサッカーの本当の進化は、ミッドウィークのゲームにこそ表れると思う。

おそらくこのペースなら、週末のゲームは遠藤康が出場するだろう。そうなれば、ミッドウィークのゲームはターンオーバーで別の選手が出場する。

8月は「遠藤康システム」では戦えないゲームが多いのだ。

彼の役割を誰かが代替するのか、それとも別の解決策を表現してくれるのか。期待していきたいと思う。

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