サッカースタジアムの観客と応援における「閾値」の話

今週はJリーグがお休みなので、「応援」に関するお話を。

このブログの副題は、昨年のACL決勝でのカシマスタジアムの雰囲気をどうやって再現するのか?だと思いながら読んでほしい。

ACL決勝の雰囲気

2018年11月3日、3万5千人が駆けつけたカシマスタジアム。
この日の雰囲気は素晴らしかった。

▼動画を撮られている方がいたので紹介させていただきます。

投稿者:Shika Pさん

ゴール裏の熱量もさることながら、「手拍子で応援に参加している人」がメチャクチャ多い。彼らの多くは指定席に座っている人々だった。

私自身、この日のカシマスタジアムを史上最高の雰囲気にしようというブログを書いたのだが、まさしくその通りにこの日の雰囲気は素晴らしかった。

ではこの日のカシマスタジアムの雰囲気を、もう一度再現するにはどうすれば良いのだろうか。

リヴァプールのアンフィールドのように、ホームスタジアムに圧倒的な応援のパワーを授けるにはどうすれば良いのだろうか。

「閾値」という概念

本題に入る前に一つ、このブログを読んでくれる方に「閾値(いきち)」という用語を説明したい。

「閾値」とは、デジタル大辞典によれば以下の解釈だ。

ある反応を起こさせる、最低の刺激量。しきいち。

閾値には個人差がある。マーケティング的な観点で言えば、何か大きなイノベーションを起こそうとする時には「閾値」を意識する必要がある。

うん、これでは少し難しいと思うので例を出す。

政治に不満を持つ100人の見ず知らずの人々が国会議事堂の前に集合した。

この集団が「暴動を起こすまでの過程」を考えてみよう。

ある人は、「周りの誰も暴れていなかったとしても」自分は暴れる。この人は「閾値が0の人」だ。

ある人は、「自分の他に1人でも暴れている人がいれば」自分も暴れる。この人は「閾値が1の人」だ。

同様に、「自分の他に2人暴れている人がいれば」「自分の他に3人暴れている人がいれば」と積み重なっていき、最終的には100人全員が暴動するまでに至る。

これが集団心理における閾値の話だ。

閾値は人それぞれ異なるにも関わらず、最終的には全員が暴動に加わる。

これは暴動ではなく、iPhoneやLINEの普及になぞらえてもらっても構わない。

「自分以外誰一人使っていなかったとしても、自分は使う」という「閾値0の人」もいれば、「半分くらいの人が使ったら自分も使おう」という、「閾値50の人」もいる。

これは何かが普及する時に必ず起きる過程の典型的なパターンだ。

ここで重要なのは、特定の人数が参加した時、参加人数は爆発的に増えるということだ。

先程の暴動の例で言えば、正確には「閾値0の人」「閾値1の人」……と一人ずつ暴動の参加者が増えていくわけではない。例えば20人くらいになると爆発的に増え始める。

それは、「自分以外の20%くらいが暴れてたら暴れてもいいかも」と思う人が多いからだ。このポイントを、マーケティングではクリティカルマスと呼ぶ。

クリティカルマスを超えた瞬間から、暴動の参加者やiPhoneの利用者は爆発的に増え始める。

人は自分ひとりだけでは物事を判断しないし、多くの人が「周りを見て判断をする」という行動を取るからだ。

ちなみに自分ひとりだけで物事を判断する人は稀有。100人中2~3人と言われている。彼らは「イノベーター」と呼ばれる。

サッカースタジアムと閾値

話がだいぶ長くなってしまった。では「閾値」や「クリティカルマス」の話と、ACL決勝のスタジアムの話は何が共通していただろうか。

勘が鋭い人はすでに気付いているだろうと思う。

先の暴動の例を、「国会議事堂」を「スタジアム」、「不満に思う」を「勝ってほしい」、「暴動」を「応援」にすり替えれば分かりやすい。

「ACL決勝のカシマスタジアム」は、クリティカルマスを余裕で超えて、スタジアムのほとんどの人が応援に参加していた。

そう、スタジアムでは「周りの多くの人が応援しているならば自分も応援する」という行動を取らざるをえない人がほとんどだ。(チームの勝利を願うなら、という前提ではある)

逆に言えば誰も応援していない時に応援をする事は、多くの人にとっては難しい。

これはおそらく10年前と変わっていないし、10年後も、20年後も変わらないと思う。

常に応援の雰囲気が良いスタジアムにするには?

では、応援の雰囲気が良いスタジアムにするにはどうするべきだろうか。

ここが核心部分だ。先に結論を書く。

周りがあまり応援していない時こそ率先して応援する。

これだと思う。つまり、自分自身の「応援の閾値」を下げるのだ。

「閾値0の人」、イノベーターの存在は、いまさら鹿島アントラーズサポーターくらいの集団であれば気にする必要は無い。

鍵を握るのはイノベーターの次、「20%まで到達させる人」だ。そのような人をアーリーアダプターと呼ぶ。

いつの時代も、どんなイノベーションでも、オピニオンリーダーと呼ばれる「大きな影響を及ぼす人」は、アーリーアダプターにいることが多い。

スタジアム全体で良い応援を作る鍵は、「周りの人が応援していない時こそ応援する人」がどれだけいるか、にかかっている思う。

自分の応援の閾値を下げれば、「応援の閾値15の人」を触発出来るかもしれない。もし触発することが出来たならば、その人たちが次の閾値の人を触発してくれるはずだ。

これは鹿島サポーターに向けて書いているようで、実は自分自身に書いている。私自身、そうありたいと常日頃から思っている。

そんなことを今回はブログにさせていただいた。

もしもあなたの応援スタンスやカシマスタジアムの雰囲気にも少なからず良い影響があるならば、嬉しい限りだ。

 

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