スマホを構えないサポーターたち~リヴァプール・アンフィールドの観客を見て~

2019年UEFAチャンピオンズリーグ準決勝、歴史に残るリヴァプールの大逆転劇が起きた。

この試合について、愛知鹿さんが非常に興味深いツイートをされていた。

 

私も確かに試合を見て「リヴァプールサポーター凄いな」と思ったのだが、何が凄かったのかを言葉にできなかった。愛知鹿さんのツイートは、それに対する1つの視座だった。

このツイートにインスパイアされ、私はリヴァプールVSバルセロナをもう一度見直してみた。それも「アンフィールドのリヴァプールサポーター」に注目して。

そこで感じたいくつかのことをここに記しておきたい。

スマホを構えない観客たち

試合をもう一度見て印象的だったのは、アンフィールドの観客達はスマホを構えて動画や写真の撮影している人が少なかったこと。

ほとんどの人がピッチを凝視し、叫び、祈り、拍手し、ブーイングし、感情をあらわにしていた。

スマホをピッチに向けて構えている観客は極めて少ないように見えた。

もちろん私はアンフィールドの現地に行ったわけではないので、上手く中継クルーが「そのような人」だけを抜いて映していた可能性もあるが、それにしてもあれほどエモーショナルな風景は日本国内では中々見られないものだった。

私はJリーグが大好きだし、この先もずっと世界で1番好きなリーグなのだけれど、このリヴァプールサポーターのエモさは羨ましいと思った。

※ちなみにスタジアムでカメラを構えることやスマホを構えることを悪く言うつもりは毛頭ない。私もスマホで写真撮るし!

サッカースタジアムのヴァイブス

このアンフィールドの雰囲気、私はヴァイブス(VIBES)という言葉を使って表現したい。ヴァイブスとは、「お互いに影響し合うノリ」みたいなものだと解釈してもらいたい。

私はサッカーにおいてヴァイブスは非常に重要だと思っている。それはチームスポーツをやった人なら共感してもらえるかもしれない。「このチームはノリが良くて良いプレーが出来るな」「このチームメイトと一緒にサッカーをすると価値観が近くて心地良いな」みたいな事は、サッカーでは容易に起きうる。スポーツだけではない、ビジネスや職場でも起きうる。

そしてヴァイブスはパフォーマンスに大きな影響を及ぼす。

ヴァイブスは気の合う選手同士で発生する事が多いが、私はスタジアムの「選手とサポーター(観客)」の関係性においても起きるものだと信じている。アンフィールドで見られた大逆転劇は、まさしくサポーターが選手にヴァイブスを伝染させて、選手がサポーターにヴァイブスを返し、得点を重ねるごとにヴァイブスが高まっていくような、そんなゲームだった。

選手と同じ感情表現をするということ

アンフィールドの観客の素晴らしかったところ、それは観客が選手と同じ感情を表現していたことだ。

選手が悔しい時は悔しい感情を。審判に主張をしたい時は同じリアクションを。気持ちの伝わるプレーがあれば成否に問わず全力の拍手を。

リヴァプールの選手は試合中、孤独になることは無かったのではないだろうか。5万人を超える「仲間」が、自分と同じ感情で戦っていることが分かるのだから。

この感情表現、シャイな日本人には少しハードルが高いかもしれない。それでも、「このリアクションは羨ましいな」「選手は心強いだろうな」と素直に思わざるをえなかった。羨ましいなと思った。

スタジアムでのサポーターの感情表現

アンフィールドの空気は素晴らしく、羨ましいなとは思いつつ、基本的にサポーターはスタジアムで自由に振る舞えば良いと私は思っている。人に迷惑をかける行為でない限り、個々人の行動は強制されるべきではない。

それでも「選手の感情に共鳴する」という感覚の素晴らしさは、ぜひ多くの人に味わってほしいなとは思う。それは応援のチャントを通してかもしれないし、ひとつの拍手を通じてかもしれない。

ちなみに私がスタジアムに足を運ぶ時に常に心がけていることがある。それは「あなたのプレーは素晴らしいよ。間違ってないよ。」と伝えるための大きな拍手だ。

例えば、SHの選手が味方からのパスが長くてギリギリ追いつかなそうなボールを必死に追いかけた時。ボールに追いつけたとしても、ギリギリ追いつけなかったとしても、「そのプレーは素晴らしいよ」という拍手を送る事は選手のエネルギーになるはずだ。

例えば、TVのハイライトには絶対映らないようなDFの選手のナイスインターセプトがあった時。せめて私は大きな拍手を送りたい。選手自身の「よし、今のは良いプレーだった」という感覚とシンクロするアクションをサポーターが取ってあげることは、スタジアムのヴァイブスを作ることに繋がると信じている。

このようなプレーを見た時には、周りの目をはばからず大きな拍手と声援を送るようにしている。(あと抗議の意味での審判や相手への大きなブーイングも……苦笑)。

それが私にとっての感情表現で、スタジアムと自分のヴァイブスを上げる行為だ。

普段は会社員として感情を顕にするような機会も少ない私のような人間にとって、スタジアムは感情を爆発させる貴重な場所だ。

私たちの聖地でもアンフィールドを超えるヴァイブスを

最後に私の好きなカシマスタジアムの話を少しだけ。

直近では2018年のACL決勝のカシマスタジアムの雰囲気は、アンフィールドとは全く異なるが素晴らしいものだった。観客の「勝とう」というヴァイブスは、拍手やチャントを通して選手に確実に伝わっていたし、文字通りチームを勝利に導く原動力になっていた。

今年も、来年も、その次の年も、あの時のように選手とサポーターのヴァイブスが重なるゲームを体感出来ると良いなと思う。また、初めてカシマスタジアムに来るような人にも、このような雰囲気を体感してほしいと願っている。

そしてスタジアムに足を運んだらぜひ、自分の感情を爆発させて最高のヴァイブスを生んでほしい。きっと選手が望む「素晴らしい雰囲気」は、観客のヴァイブスをビンビンに感じるスタジアムなのだと思う。

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