Jリーグの審判レベルは、すでに緊急事態である

Jリーグの審判レベルは、すでに緊急事態である

2018年Jリーグ第33節、清水エスパルスVSヴィッセル神戸で、怒りを通り越して悲しみを覚えるようなレフェリングがあった。私は鹿島サポーターである前にサッカー好きなので、今回はこの試合のレフェリング、そしてJリーグの審判問題について書きたい。

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清水エスパルスVSヴィッセル神戸のレフェリング

私は鹿島サポーターだ。清水にも神戸にも特別な感情は無いので、フェアな目線でこの試合を見た。乱闘に注目が集まりがちだが、本コラムでは柿沼主審ならびに清水副審・秋澤副審ら審判団のジャッジについて考察したい。

河井が怪我をしたシーン

私がこの試合のレフェリングで最も許せないのはこのシーンだった。神戸の橋本と頭がバッティングした河井がピッチに倒れこんだシーン。頭の接触は命に関わる。ただちに試合を止めて河井の治療をしなければならない。これはサッカーに携わる人間の常識である。

このシーンで、柿沼主審は河井が頭を打って倒れこんでいるにも関わらず気にも止めず試合を続行した。しかも清水の白崎は河井の異変に気付き、守備に戻りながら審判に試合を止めるよう訴えかけていた。

柿沼主審は白崎の訴えを無視してプレー続行。ハッキリと言うが、このレフェリングは異常だ。

また、百歩譲って主審が気付かなかった場合は副審が主審に無線で伝えるべきだ。副審は神戸ゴール側で起きている出来事を見ているわけで、主審に無線で伝えることができたはずだ。(白崎の声に主審は反応しているように見えるので、主審が気付かなかったわけがないのだが…)

このレフェリングは勝敗ではなく命に関わるものであり、私はいちサッカー好きとしてどうしても見過ごすことが出来なかった。プレーが止まって河井のもとに駆け寄った柿沼主審が、ようやく事の重大さに気付いたようだが、これではあまりに遅すぎる。

河井の無事を心から祈っている。

ファウルの基準

橋本と河井の接触において、橋本はボールに触れていないように見えるので、本来はファウルだった。しかし柿沼主審はこのファウルも見逃している。

結果的にこのプレーが「ファウルの基準」になってしまう。このプレー以降、「空中戦で相手にアタックしてもノーファウル」という危険なゲームになってしまった。これは橋本が悪いわけではない。橋本のファウルを取らなかった誤審が生んだものだ。橋本は一応ボールにチャレンジしていたので、プレーに悪意があったようには私は見えなかった。

プレー再開直後、今度は立田が空中戦の競り合いで怪我をしてしまう。ボールにチャレンジしようとした立田が、ボールにチャレンジしていないポドルスキのタックルを受けた形だ。

このプレーも柿沼主審はノーファール。「ファウルの基準」はさらに緩くなり、ゲームは無法地帯と化する。乱闘のきっかけとなったウェリントンのファウルも、これらの「ファウルの基準」ありきのプレーだったのは間違いない。

神戸側の目線で見ると、怪我による中断があったとはいえロスタイムの長さは異常であり、選手もサポーターも怒り心頭になるのは理解できる。

サッカーはルールを守らなければスポーツではなくなる

審判の仕事とは何だろう。私は「プレイヤーをサッカーという競技規則の中でプレーさせる」という事が審判の仕事だと思っている。

例えば、競り合いの時に毎回肘打ちをする選手がいたとする。しかし今日のゲームでは肘打ちをする選手に対してファウルが取られない。そうなった場合、選手はどのようにプレーすると予想できるだろうか?

「肘打ちがノーファウル」という基準ならば、「肘打ちをする選手」VS「肘打ちをしない選手」が競り合ったら、もちろん前者が有利になる。つまり、「本当は肘打ちなんか絶対しない選手」も「このゲームにおいては肘打ちをする」という選択をせざるを得ないのがサッカーというゲームなのだ。

それはサッカーというゲームで目指すものが「勝利」だから。そして「2チームが同時に勝利することはない。」という性質のゲームだから。

サッカーを野蛮なものにしないために競技規則があり、それを選手に守らせてプレーに集中させるために審判がいる。とてもシンプルで当たり前の事だが、審判はそれを意識しないといけない。審判が競技規則に則らないジャッジを始めた瞬間から、サッカーは野蛮で暴力的なものに変わりかねない。

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Jリーグの審判問題

このゲームはとりわけ酷いレフェリングではあったが、Jリーグのジャッジの酷さは今に始まったことではない。例えば鹿島アントラーズは、2017年最終節で村上主審に「昌子か植田のどっちか」がファウルをしたという曖昧なジャッジでゴールを取り消され、Jリーグ年間優勝が無くなった。鹿島の34試合の努力を、こんな曖昧なジャッジで水の泡にされてしまった経験がある。

誤審の被害者はもちろん鹿島アントラーズだけじゃないだろう。Jリーグの各クラブが誤審に泣かされていることを私は知っている。そして、Jリーグはこれを何年も放置している。

Jリーグ各クラブが選手獲得に投資して海外から素晴らしい選手を連れてきても、アカデミーに力を入れて素晴らしい若手選手が増えても、審判のレベルアップはそのスピードに追い付いていない。清水エスパルス×ヴィッセル神戸での、イニエスタの悲しそうな顔を私は忘れない。

「日本人審判のレベルアップ」なんていう悠長なことを言っている時間は、もうJリーグには無いと思う。優勝賞金や各クラブへの分配金を減らしてでも、海外のレフェリーを呼ぶべきではないだろうか。Jリーグの審判の報酬を高めて、国内外問わず審判に優秀な人材を集めるべきではないだろうか。

例えば今年のACL準決勝の水原×鹿島アントラーズの笛を吹いたアメリカのMARK GEIGERさんは、一歩間違えば大荒れになりそうな日韓クラブの試合で、素晴らしいジャッジをしてくれた。少なくともJリーグでは体感したことのない、レベルの高いレフェリングだったことを鹿島サポーターは覚えている。

今のJリーグの審判のレベルは、「緊急事態」と呼んでいいレベルだと私は思う。来シーズン以降、Jリーグの審判が「変わる」こと、Jリーグが審判を「替える」ことを願いたい。

 

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