昌子源と西大伍がいなくなる鹿島アントラーズ【一つのサイクルが終わり、新しいサイクルへ】

西大伍のヴィッセル神戸への完全移籍が発表された。小笠原の引退、昌子源・植田直通のヨーロッパ挑戦と合わせ、私は鹿島アントラーズの一つのサイクルが終わったように感じた。このブログでは、大好きな選手だった昌子源と西大伍について、そして2人がいなくなる鹿島について書きたい。

金が取れるDFと金が取れるファーストタッチ

私はここ3~4年、スタジアムに行って生で見るのが楽しみだった選手がいた。昌子源と西大伍だ。

金が取れるDF・昌子源

一時期の昌子(2016~2017年)は本当に「金が取れるディフェンダーだ」と思っていた。エレガントとも表現すべき対人のディフェンスは、同じディフェンスのポジションである私から見てジェラシーを感じるほどだった。国内で、いや世界を見ても昌子に1対1で勝てる選手はいないのではないかと思うほど、そのDFに狂酔した。

実際、2016年にレアル・マドリーと戦っても昌子源のDFは引けを取らなかった。

ロシアW杯、「ロストフの14秒」と呼ばれるあのシーンが、昌子の人生を変えたと思う。私はあの14秒において、1人だけ最後の最後まで全力ダッシュで帰陣した昌子を誇らしく思った。テレビでよく喋るあの日本代表選手も、あの日本代表選手も、昌子ほどのダッシュはしていなかった。勝負事だから負けてもいいとは思わないが、私はあの敗戦を受け入れられた。それは他でもない、昌子のおかげだ。

応援している人が見たいのは何だろう。勝つ姿だろうか。たぶん勝負事だから、それは正しい。私だって勝利を求めてる。一方で、最後の最後まで戦い続ける、そんな姿を見たい人だっていると思う。やり切って、やり切って、悔し涙に暮れる敗戦に価値がないとは私は決して思わない。昌子がW杯で見せてくれたのは、そんな姿だった。

しかし、W杯後の昌子は、それまでの昌子と比べると「心」が充実していないように見えた。その姿は私が狂酔した「金が取れるDF」ではなかった。

恐らく昌子は、我々サポーターが思うより心が強くない選手なのかもしれない。あの状態で鹿島で続けるのは彼にとっても鹿島にとっても良くない。今回、フランスで心機一転の挑戦をするのは彼にとっても良いタイミングだと思う。

取り戻すべき姿は「金が取れるDF」だ。頭でっかちになるな。自ら身体を投げ出し、考えるよりも先に身体を動かせ。そんな昌子を取り戻してくれ。それさえ出来れば昌子はきっとフランスでも勝てる。鹿島サポーターはいつだって君を応援している。

柴崎と一緒に鹿島に帰ってきてくれる日を楽しみに待ってる。

金が取れるファーストタッチ・西大伍

昌子とは別の所で、「これを見に来るだけで価値があるなぁ」と思えたのは西大伍のプレーだった。特に絶品なのがファーストタッチとアタッキングサードでの精度。どんなに難しいボールも、いとも簡単にコントロールした。アタッキングサードでは極上のボールをゴール前に届けた。

こんな記事を書いたこともあった。

安部裕葵が語った西大伍だけが持つ”タイミング”

西のプレーは「脱力」によって良くなったように感じた。

サッカー選手にはタイプがあって、ガチガチに力が入ってる選手もいれば、適度に力が抜けている選手もいる。しかし西大伍ほど「力が抜けている」選手は日本人には中々いない。西は、相手が力んでるほど、必死にボールを取りに来るほどに相性の良さを発揮した。

前回のブログにも書いたが、鹿島はビルドアップやアタッキングサードでの崩しを西大伍に依存している側面があるチームだ。それほど近年の西大伍は影響力を持った選手だった。

しかし、「西大伍はもう鹿島にいるべきではない選手なのかもしれない」と思ったシーンもあった。

2018年クラブワールドカップ準決勝レアル・マドリー戦。後半からボランチで出場した西大伍。3点目を奪われたシーン。西は最前線に飛び出しセルヒオ・ラモスにプレスをかけにいった。しかしプレッシングはハマらずにボールを繋がれてしまう。決して速い攻撃ではなかった。マドリーはゆっくりゆっくりと鹿島陣地に侵入し、バイタルエリアまでパスを繋ぐ。

この間、西はずっとゆっくりジョギングしてゴール前に戻ってきた。ジョギングしながら目の前にはドフリーのマルセロが見えていたはずだ。西が見えていない訳がない。危機を察知して戻ろうとした安部裕葵に任せたつもりだったのだろうか。結果、”ボランチ(西)が埋めるべきスペース”に侵入してきたマルセロに、自由にラストパスを供給され、ゴールを奪われた。

これはW杯で昌子が見せたダッシュとは真逆の類のプレー。小笠原なら絶対にやらないプレー。

これを主軸の選手がやっているチームでは4冠など達成出来ないだろうな。そう思った。西は鹿島にとって欠かせない攻撃のピースであると同時に、鹿島が大切にしてきた「献身」を体現出来る選手ではなくなっているような気がした。

ひとつのサイクルが終わる鹿島アントラーズ

昌子源・植田直通・柴崎岳の海外移籍。西大伍・金崎夢生の移籍。そして小笠原満男の引退。

2015年のルヴァンカップ、2016年のJリーグと天皇杯、2018年のACL。この4つのタイトル獲得の屋台骨となった選手達がいなくなる事になった。これは、鹿島アントラーズのひとつのサイクルが終わったと言えるだろう。

ここから鹿島は次のサイクルを作る時期に入る。その中心となるのは、優磨・安部・平戸・安西・三竿健斗・町田らの若い選手たちだ。恐らくクラブとしても、その覚悟だろう。

「主軸選手が抜ければそのチームが弱くなる」という事には必ずしもならないのがサッカーの面白いところだ。金崎と植田が抜けて、むしろ強くなった2018年の後半のようなケースだってある。

西大伍が見せてくれた素晴らしいプレーは心の片隅に置きながら、今年は若い選手達を支えていこう。新しい鹿島で、去年までの鹿島を越えよう。

 

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