興梠慎三に翻弄され続けた90分間【2019年第16節浦和レッズ戦マッチレビュー】

2019年Jリーグ第16節、浦和レッズVS鹿島アントラーズ。マッチレビュー。

試合結果

1-1

【得点】

77分 伊藤 翔

88分 興梠 慎三

スタメン

鹿島のスターティングメンバーは以下の通り。

GK クォン スンテ

DF 永木亮太 町田浩樹 犬飼智也 小池裕太

MF 三竿健斗 名古新太郎 レアンドロ 白崎凌兵

FW セルジーニョ 土居聖真

ハイライト

見どころ

このゲームを勝利すれば20試合で勝点40に乗せられる。私が常に言っている「優勝争いのために必要な1試合あたりの平均勝点2」に届く。Jリーグの優勝争いが現実味を帯びてくる。

この日の対戦相手、浦和レッズとは、既にルヴァンカップ準々決勝での2連戦が確定している。また、お互いがACLを勝ち上がれば更に2試合の対戦の可能性がある(天皇杯も当たる可能性がある)。

今シーズン何度も相まみえる可能性のある相手だけに、まずはこのゲームをきっちり勝利して、その後のルヴァンカップの勢いに繋げていきたい。

また、この試合はナイトゲームにも関わらず気温31.2度・湿度64.0%の猛烈な暑さに見舞われた。私は観戦しているだけで猛烈に汗が吹き出してきたほどだ。

勝負所を見極め、エネルギーの使い方を上手く配分していきたい試合だ。

試合レビュー

ポジション

▼鹿島を赤紺、浦和を白で表現

浦和は3-4-2-1、鹿島は4-4-2が基本のポジションとなる。

興梠と武藤の有機的な動きに付いていけない鹿島

まず前半、鹿島は相手の有機的な動きに付いていけなかった。

問題が起きていたのは主に鹿島の右サイド(浦和の左サイド)。

鹿島の4バックの中間ポジションに入る浦和の武藤と興梠が、それぞれ有機的に動き、鹿島のCBとボランチはその対応に手を焼いた。

例えばこんなシーン。

  1. 左側のシャドーに入った武藤が”あえて”鹿島の両CBの間を走り裏を狙う。
  2. 武藤を見ていた犬飼が付いていこうと後ろ向きに動く
  3. その犬飼を見て、興梠が「武藤のいたポジション」に入ってフリーでボールを受ける

例えばこんなシーン。

  1. 武藤が中間ポジション(犬飼と永木と三竿とレアンドロの四角形の中心)でボールを受けようとする
  2. 犬飼がそれをケアしにプレッシャーをかける
  3. それを見て興梠は犬飼と永木の裏に抜けてパスを受ける

どちらも共通するのは、「中間ポジションへ動く武藤の動きをトリガーに、CBを動かされ、その逆を興梠が取る」という事。

このゲームは興梠に何度も何度もボールを収められた。

正直、鹿島のCB陣は興梠に完敗したゲームだった。何度も「CBの動きの矢印の逆」を取られ、浦和に試合を有利に進めさせる要因となってしまった。

鹿島のビルドアップの弱点を突いてきた浦和

浦和は鹿島のビルドアップの弱点を突いてきた。それはCB-GK間のビルドアップだ。

鹿島のCB陣は強めのプレスを縦方向からかけられると、「SBに逃げるか、GKに戻す」という選択をする事が多い。

浦和はCBには興梠とシャドーが、SBにもWBが縦方向からプレスをかけにきた。

となると鹿島のCBはSBに付けられないので、GKのスンテに戻すしかない。しかし、そこにも浦和は追ってくる。

GKにプレッシャーがかかると、鹿島はビルドアップを再び試みる事は基本的にしない。スンテはかなり高確率でロングボールを選択する。

このように鹿島はビルドアップを”させてもらえず”、ロングボールを蹴るしかなかった。これでロングボールに競り勝てれば良いのだが、このゲームでは浦和の高さに分があった。

鹿島はこのメカニズムでボールを上手く運べず、浦和にペースを握られる時間が続いた。

この「CB-GK間のビルドアップ」の鹿島の習性を浦和は見抜いていたし、容赦なくプレスをかけてきた。

そのプレスの立役者は、皮肉にもまた興梠慎三だった。

人数が揃ってるのに崩される鹿島

この試合(特に後半立ち上がり20分など)は、「鹿島のDFの人数が揃っているのに崩される」という場面が多かった。

そのメカニズムは図でご確認いただこう。

これは後半、レアンドロが交代されるまで何度も見られた形だ。

鹿島はレアンドロの守備時の立ち位置が致命的に悪く、また両CBの武藤・興梠のケアも曖昧だった。浦和は槙野を起点に、何でも攻撃を仕掛ける事が出来た。

4-4-2と3-4-2-1の「噛み合わせの悪さ」を、そのまま何のケアもせずに殴られた形だ。

またレアンドロの立ち位置の悪さについては、永木でもCBでもボランチでも監督でも、誰でもいいから一刻も早く修正させないといけない。この先も鹿島は右サイドから無条件に殴られ続ける可能性がある。

土居聖真も浦和の中間ポジションを突いた

これまで書いたように、鹿島は4-4-2の中間ポジションをかなり突かれ、試合を有利に運ばれた。

しかし後半、レアンドロが伊藤翔に替わり、セルジーニョが右サイドに入ると流れが変わった。

セルジーニョが守備時に必要最低限の立ち位置を取っていたので、槙野を起点に殴られ続けた展開から脱した。

すると逆に、今度は浦和の3-4-2-1の中間ポジションを土居聖真が取る。3-4-2-1の中間ポジションとは、「ボランチの脇」だ。

鹿島は攻撃時に「浦和のボランチ脇」をチームとして狙いを持って攻めていた。得点シーンも土居が「浦和のボランチ脇」に位置取り、そこにすかさず名古が縦パスを入れる事でチャンスメイクに繋がった。

浦和は鹿島の中間ポジションを突き、一方の鹿島も浦和の中間ポジションを突けた。結果的にはそのようなゲーム展開になった。

名古の縦パスとパススピード

このゲーム、名古はかなり意欲的な動きを見せた。

前述の通り、前半は鹿島はビルドアップに失敗していたので、名古本来の力(ショートパスを中心としたゲームメイク)を発揮する事が出来なかった。

だが後半に入り、浦和のプレスが疲労により緩くなり、ビルドアップに成功すると名古の存在感は一変する。

テンポの良いパスボールさばきと、機を見た縦パス、連続性のあるパスアンドムーブ。

それに加えて「パススピード」がピッチに立つ22人の中でも随一だった。鹿島は今後、名古のパススピードと精度に基準を合わせればもっと強くなれると確信した。

レオとも三竿とも大きく異なったプレースタイルを浦和相手に見せてくれたのは、鹿島の大きな収穫だろう。

上田綺世のデビュー

また、鹿島の明るいニュースは上田綺世のJリーグデビューだ。

このゲームではシュートを放つことさえ難しかったが、今後は鹿島の主力の1人として活躍してくれる事だろう。特に受け手をよく見る白崎とは相性が良いことだろう。

当面は途中出場が増えると思うが、精力的にプレーしてほしい。

MIP

名古新太郎!

おそらくロニーの選ぶMVP(MIP)初選出。後半戦は名古新太郎の爆発にタイトルがかかっているかもしれない。頑張ってほしい。

 

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