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クォン・スンテがGKの奥深さを見せた試合-2019年Jリーグセレッソ大阪戦マッチレビュー-【YouTube編集後記】

ついに首位に浮上した鹿島。セレッソ大阪戦のマッチレビューについて、動画をUPした。今回の記事はその編集後記。

クォン・スンテの奥深さ

動画の冒頭にも語ったが、私は今回の試合のスンテの振る舞いにサッカーの奥深さやGKの奥深さを見た。

スンテといえば鬼神のごとき表情でシュートストップを繰り返し、だらしないプレーをした味方を叱責する姿が印象的な選手だ。時には相手に凄む姿さえ見せる。

ただこの試合のスンテは様子が違った。

淡々とゴールを守り続け、基本的にはテンションを上げることなく完封劇を演じてみせた。

危険な場面が少なかった訳ではない。むしろピンチは多いゲームだった。

それでもスンテは静かにシュートストップを繰り返し、何事も無かったかのように振る舞った。

GKのリアクションというのはチームに多大な影響を与える。

GKは最もフィールドを見渡せる場所にいる選手であり、最も時間をコントロール出来る選手でもある。

プロのゲームでは声援の影響で選手間の声が届かない事も多い。監督の声も同じだ。そんな時、選手たちの意思疎通の指針になるのはGKやキャプテンの振る舞いだったりする。

GKがリスタートを急ごうとしているならば、それはきっと相手の守備が遅れていてチャンスなんだという事を意味する。

GKがリスタートにゆっくり時間をかけようとしてるならば、それはきっと流れを一旦切ろうとしている事を意味する。

GKの一挙手一投足はチームのテンションに多大な影響を及ぼす。フィールドプレイヤーは皆、味方GKの動きを常に見ている。

このゲームのスンテのプレーは、自チームのテンションだけでなく、ゲーム自体のテンションをも操ろうとしているように見えた。

セレッソ大阪が良い形の攻撃を見せた後も、スンテは何事も無かったかのように振る舞った。実際はギリギリの所で耐えていたのかもしれないが、そんな弱気な姿を相手に見せる事は無かった。攻められていても「まだ鹿島の流れである」と、「これは想定内の攻撃である」と、そんな事を言わんばかりの貫禄だった。

そして実際、ゲームは「スンテのテンションのまま」クローズすることになった。

このようなゲームの運び方もあるのかと、テンションの操り方もあるのかと、私自身、非常に勉強になった。

これがアジア王者を3度獲っている男のプレーである。

今年こそは、スンテと一緒にJリーグチャンピオンになりたい。

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