6月に入り、じわじわと気温が上がってきた。そろそろ「サッカーをするのには暑すぎる」という季節がやってくる。
そこで今回のブログでは、「暑くなると走れなくなる気がするけど、果たして本当に気温が高くなると走行距離って短くなってるの?」という私の個人的な疑問と、調べてみた内容を記載する。
調査対象はもちろん鹿島アントラーズ。2017年シーズンと2018年シーズンを調べてみた。
※当記事で使用した「走行距離」や「スプリント数」は、FootballLABさんのデータを使用させていただきました。
気温と走行距離の関係性
まずは、早速グラフから見ていただこう。
2017年のデータ
▼2017年の気温とチームの総走行距離の推移(単位は主軸がメートル、第2軸が℃)
- 15℃以下と気温の低いシーズン序盤は総走行距離が長い
- 25℃を超えてきた15節~25節の間は総走行距離が落ち込む
- 20℃以下が増えるシーズン終盤に総走行距離がやや伸びる
こんな感じだ。この関係性について、相関関係があるのかどうかを、次のグラフで確認する。
▼2017年の気温と鹿島アントラーズの総走行距離の散布図
このようになった。
2017年の総走行距離と気温の相関係数は、-0.52。この2つの変数には、「負の相関がある」と言える。
つまり、「気温が上がれば総走行距離が下がる傾向にある(気温が下がれば総走行距離が上がる)」という関係だ。
2018年のデータ
なんとなく2017年のデータだけで良さそうな気もするが、念の為もう1年見てみよう。
▼2018年の気温とチームの総走行距離の推移
2018年も、2017年同様に気温が上がった試合では走行距離が落ち込んでいるように見える。
しかも、2018年は2017年より30℃前後の試合が多いから余計顕著だ。2018年の相関係数も見てみよう。
▼2018年の気温と鹿島アントラーズの総走行距離の散布図
相関係数は-0.66。2017年よりも更に負の相関が強い。
2018年は顕著で、気温25℃を境に総走行距離は全て110km以下になる。2017年からの通算で見ても、気温25℃以上で110km以上の総走行距離があったのはたったの1試合だけだ。
これから夏を迎えるJリーグでは、この指標を持っておくのは面白いかもしれない。
これらの散布図を見ると、「サッカーは冬のスポーツ」と言われる所以が分かる気もする。
気温とスプリント数の関係性
気温と総走行距離には相関があることが分かった。それでは気温とスプリント数の関係はどうだろう。
スプリント数については2018年のデータだけ掲載しよう。
▼2018年の気温とチームのスプリント数の推移
▼2018年の気温と鹿島アントラーズのスプリント数の散布図
スプリント数は走行距離とは異なり、気温との相関が少し弱い。
相関係数は-0.3。「やや負の相関がありそう」といった程度だろうか。
「総走行距離」は短くなっても、「大事な局面」が大きく減ることは無いということなのかもしれない。暑かろうが寒かろうが、チャンスやピンチの時は選手はスプリントするのだろう。
25℃の壁
走行距離とスプリント数それぞれと、気温の散布図を見てみると、「25℃の壁」が浮かび上がってくる。
スプリント数の散布図を見ると、25℃以上を境に170回以上のスプリントは記録出来なくなっている。
走行距離の散布図では前述の通りに、25℃以上を境に、総走行距離が110キロを下回る。
他のチームは分からないが、鹿島アントラーズの試合における走行距離やスプリント数に影響が出る気温のラインとして「25℃」というのは参考にしても良さそうだ。
試合観戦をする時は「25℃を超えてくると選手はキツいんだろうな」みたいなイメージを持ってもらうと良いかもしれない。
走行距離も気温も勝敗には関係ない
念の為注意してほしいのは、走行距離が長くとも短くとも、スプリント数が多くとも少なくとも、勝敗との相関はあまり無いということだ。走った選手が偉いわけでも、走らない選手がダメなわけでもない。
一生懸命走った所で勝てるとは限らないのが、サッカーの面白いところでもある。
むしろ、これらのデータは「暑い日は一生懸命走らなくて済むように選手はプレーしている」とも言えるのかもしれない。
これからの季節は「1つの壁」となる25℃を超える日が増えてくるだろう。
選手にとっては過酷な環境になるとは思うが、賢く戦い、勝点を積み上げてほしい。