今回は鹿島アントラーズの選手年俸について書きたい。私はシーズン前に推定年俸を確認しておくのが好きだ。1億円貰っている選手と1000万円貰っている選手では、求められるレベルが変わってくるのは当然のことで、それを含んで観戦をすると楽しみの幅も広がる。
データソースはJリーグ選手名鑑2019 J1・J2・J3 (エルゴラッソ特別編集)。あくまでエル・ゴラッソ調べのデータなので、実際の年俸とは異なる可能性があることご理解の上で読んで頂けると幸いだ。ちなみにエル・ゴラッソのこの選手名鑑、専用アプリもDLできる優れものなので、かなりオススメです。
チーム最高年俸
鹿島アントラーズのチーム最高年俸は内田篤人とクォン・スンテの2名。両名とも年俸1億5千万円ということになっている。
クォン・スンテ
まず、スンテがチーム最高年俸なのはサポーターも納得のところだろう。昨年の「サポーターが選ぶMVP」において圧倒的な得票を獲得したことからも、その評価には納得感がある。スンテがいるのといないのとでは、勝点ベースで10くらい変わると個人的には思っている。
キャリアを見ても、ACLを3度制した選手は世界中にスンテしかおらず、現役A代表ではないもののキャリアの面でも文句なしだ。ちなみに昨季の試合出場数は42試合。
ちなみにエル・ゴラッソのデータによると、2018年のスンテの推定年俸は1億だった。結果を残したスンテに対して大幅な給与のUPを決断した鹿島フロントの判断は支持したい。スンテは2019年におけるチーム最高年俸選手であるべきだ。
内田篤人
そしてもう1人の最高年俸は内田篤人。もしかすると、これには不満がある人もいるかもしれない。
怪我を抱えている選手とはいえ、昨年の試合出場は24試合。鹿島アントラーズの公式戦のうち、半分も出場していない。試合における貢献度という意味では、チーム最高年俸に相応しくないのは明らかだ。
しかし、年俸は「試合における貢献度」だけで決めるものでは、勿論無い。まず、内田篤人は日本人選手の中での「格」が段違いに高い。内田と同じ「格」の現役の日本人選手は、香川真司や長友佑都くらいなものだ。それくらい、内田篤人が日本代表やヨーロッパで経験してきたことは他の選手とは比較にならない。
そして内田篤人はビジネスの面でもプラスの効果がある。グッズ収益やスタジアムの来場者数にも大きく貢献してくれる存在なので、ビジネスの総合的な観点で考えれば、スンテを超える年収も貰っていてもおかしくはないかもしれない。
また、内田篤人は知名度が抜群に高いこともあり、メディア対応の多さも他の選手の比じゃない。この辺の「収益面での貢献・メディア対応」も考慮された年俸であることは間違いないだろう。
ちなみにJリーグ選手名鑑2019 J1・J2・J3 (エルゴラッソ特別編集)によれば、内田篤人は日本人の中では最高年俸選手でもある。
内田については、今年はピッチの中での活躍もコンスタントに期待したいところ。過去にどうしようもないほどの大怪我を負ってしまったしまったことは周知の事実で、それからは怪我と付き合いながらプレーをしているという。
それでも、鹿島の試合が全60試合と仮定して、半分以上は先発でピッチに立ってほしいと願う。
鹿島のキャプテンは、ピッチに立って、その背中で語ってほしい。
ちなみに2018年の内田の年俸は1億2千万円だったので、2019年は3千万円UPということになる。
チーム3位の年俸
チーム3位の年俸はレオ・シルバ。1億円だ。
レオ・シルバ
スンテ・内田に次ぐ年俸だったのはレオ・シルバ。個人的にはレオ・シルバがチーム3位なのも納得感がある。昨シーズンは40試合出場。鹿島の攻撃の組み立てはレオ・シルバに依存することもあるほど、そのキープ力はアジア制覇に欠かせないものだった。そして、ACLの舞台でもレオ・シルバの実力が通用することを証明したことも大きいだろう。
ちなみに2018年は1億3千万円だった。年齢的にも、1億円のチーム3位は妥当な気がする。
レオ・シルバのチーム3位の年俸には納得感がある一方、私は去年の実績を見る限りは優磨に対してもレオと同じレベルの年俸を提示してほしいとも思う。
チームの顔とも言えるエースストライカーの役割、残した実績、出場試合数。その貢献度はレオを凌ぐものだったと言っても良い。鹿島(というかJリーグ)は伝統的に若い選手への提示金額が低い傾向にあり、外国籍選手やチームへの在籍年数が長い選手を優遇する傾向がある。これについても見直しを図らなければいけない時代に差し掛かっているように思う。
チーム4位の年俸
チーム4位は曽ヶ端準の7200万円。
曽ヶ端準
正直、曽ヶ端に対しての7200万円は高すぎると思う。昨シーズンは19試合出場。
チームのレジェンドとはいえ、キック力の衰えは年々顕著になっていき、出場する試合では相手に主導権を渡す要因にもなってしまっている。
立ち位置としても第2GKか第3GKなのは明白で、その立ち位置の選手にチーム4位の年俸は、正直おかしいと私は思う。チーム一筋の曽ヶ端には長く現役を続けてほしいが、チーム内での年俸のバランスという点では、もっと厳しく見て、活躍した若い選手に還元してあげてほしい。
もちろん、「チーム一筋の選手に対して優遇するよ」というクラブとしての意思表示の意味合いもあるとは思う。これは退職金制度を採用している株式会社の給与テーブルと同じ考え方だろう。「若いうちに移籍(退職)を繰り返すよりも、鹿島にずっといてくれれば年を取ったときに優遇するよ」という示唆とも取れる。
チーム5位グループ
5位グループは5000万円の永木・土居・山本。
永木亮太
2018年の3600万円から大幅UP。昨シーズンはチーム最多の55試合に出場しており、鹿島に欠かせない選手であることを証明した。アジアの舞台では永木のように戦える選手が重要だ。今シーズンからは副キャプテンも任されることになり、年俸でもチーム上位になったことは、フロントから永木への厚い信頼と期待を感じる。
土居聖真
土居も2018シーズンは永木に次ぐ54試合に出場。2018年は3000万円だった事を考えると、大幅UPだった。永木と同様、鹿島は「怪我をせずに多くの試合に出場した選手」には正当な評価を与えていると思う。また、土居は鹿島一筋の選手なので、このまま鹿島で評価を高めていってほしい。
山本脩斗
山本は在籍年数6年目と、ずっと鹿島の左サイドからチームを支えてきた選手。年俸でも高い評価をされているのは嬉しいし、このように地味ながらもチームの土台を支え続けてくれる選手が評価されているのは大切なことだ。昨シーズンの出場試合数は35試合。コンスタントに出場を続けてくれた。ちなみに2018年の年俸は4000万円だったので、1000万円UPということになる。
チーム8位グループ
8位グループは4800万円のセルジーニョ・遠藤・レアンドロ。セルジーニョ・遠藤については納得感があるが、レアンドロはもっと大幅に年俸DOWNでも良かったのではないかと思う。レアンドロは昨シーズンから年俸が変わっていないようだ。
チーム11位グループ
11位グループで、ようやく鈴木優磨と三竿健斗が登場。推定4500万円。本来、鹿島の中で最も市場価値の高い選手は彼らと安部裕葵だと思うので、この年俸が妥当なのかどうかは微妙なところ。
他クラブの同年代の日本代表で言うと川崎の守田、清水の北川がいるが、彼らの推定年俸が2000万~2500万ということを考えると、鹿島は頑張っている方なのかもしれない。
チーム総年俸の推移
エル・ゴラッソによる鹿島のチーム推定年俸の推移はこんな感じ。
2017年:9億9060万円
2018年:12億7560万円
2019年:11億8900万円
※すべてシーズン開幕時点の選手で計算
2019年は8660万円のマイナスとなった。小笠原の引退、昌子・西の移籍による年俸のマイナスは、獲得選手の年俸よりも大きかったようだ。昨シーズン開幕時点よりも、人件費的にはスリムになっている。
ちなみに2018年Jリーグチャンピオンの川崎フロンターレの推定年俸合計は10億9920万円。今シーズンの鹿島よりも1億円近く低い。浦和レッズは14億4280万円。
と、今回はこんな所で。年俸で選手のすべてが決まるわけでは勿論無いし、そもそもここに書いてある年俸も推定でしかないので、「参考程度」で見てもらえれば幸いだ。
試合を見ながら、選手名鑑を片手に「山口一真、推定年俸1000万円なのに5000万円貰ってるあの選手より頑張ってるなぁ」みたいな見方をすると、少し楽しむ幅も増えるかもしれない。