鹿島アントラーズの2019年Jリーグが終わった。
記憶が新しいうちに、鹿島アントラーズの2019年Jリーグをトピックスと共に振り返りたい。
順位推移
まずは順位推移を確認する。
ここからは、各節のトピックスを詳しく振り返りたい。
第1節ホーム大分トリニータ戦
●1-2
開幕戦は、ACLのプレーオフで結果を出した伊藤翔が先発、中盤は永木・レオ・遠藤・安部が先発した。
このゲームでは大分に対して前線からプレッシングを敢行するが、見事に外され、鹿島のDFに対する藤本のスピードのミスマッチを活用されて痛い敗北を喫した。
一方で伊藤翔は2戦連続ゴールを決めるなど、存在感が際立った。
第2節アウェイ川崎フロンターレ戦
△1-1
このゲームでは内田篤人が先発。また、土居をSHで起用した。開幕戦を負けた事もあり、また昨年王者川崎とのゲームという事もあり、「はやくも山場である」という事を感じさせる選手起用だった。
前半早々に中村憲剛にFKを決められるも、2-3月の月間ベストゴールにも選ばれた伊藤翔の見事なゴールで同点に追いつき、アウェイで貴重な勝ち点1を獲得した。
第3節ホーム湘南ベルマーレ戦
○1-0
最終ラインは、内田・犬飼・町田・安西というユニット。レアンドロをリーグ戦初の先発起用し、替わりに土居聖真をFW起用。
チームの状況は決して良くなく、特にSHのレアンドロも安部も不十分なパフォーマンスだった。しかし、永木と内田、スンテといった歴戦の戦士たちがチームを引っ張り、勝利をもぎ取ったゲームだった。湘南・岡本の退場も鹿島の追い風となった。
第4節アウェイ北海道コンサドーレ札幌戦
○3-1
湘南戦と同じ布陣になった札幌戦。
特殊な攻撃スタイルを見せる札幌を前に、きっちり準備した守備を見せ、勝利をもぎ取ったゲーム。安部の調子は上向かないものの、レアンドロは復調の兆しを見せた。そして安西はこの日も果敢に攻撃に関わり、鹿島の攻撃を牽引する存在となっていた。
伊藤翔の、ゴールゲッターとしての真価を発揮するような2ゴールも忘れられない。
開幕から4試合目にして、初めて快勝と呼べるゲームだった。
第5節アウェイジュビロ磐田戦
△1-1
このゲームは引き分けたが、鹿島は試合結果以上のダメージを負うことになる。
川崎戦から上々のパフォーマンスを見せていた内田篤人が負傷した。
このアクシデントは、振り返って考えると痛恨だった。シーズン後半に内田篤人は復帰したものの、シーズン序盤ほどのパフォーマンスを見せることは出来なかった。
この頃の鹿島はレアンドロの守備の脆さを内田が絶妙なポジショニングで誤魔化していたのだが、内田の離脱と共に鹿島の右サイドの守備は不安定になる。
一方で、安西を擁する鹿島の左サイドは鹿島の武器となっており、安部とのコンビネーションも日に日に向上していった。
第6節ホーム名古屋グランパス戦
○2-1
このゲームでは内田篤人に替わり、平戸太貴が右SBとして起用された。
この時点で首位だった名古屋グランパスとの一戦では、平戸の右サイドは狙われてしまったが、途中交代で三竿を投入、永木を右SBにすることでなんとか鹿島は踏みとどまった。この交代が、後に訪れる「永木SB起用」のベースとなる。
レオのスーパーゴールが生まれたのもこのゲーム。
また、ブエノをクローザーとして起用したのもこのゲームだった。怪我人が多い中で、なんとかゲームマネージメントをしてチーム全員で勝利を掴んだ。
第7節アウェイFC東京戦
●1-3
私が「史上最低の前半」と称したゲーム。
献身的な守備と、久保建英やディエゴ・オリヴェイラを中心に変幻自在な攻撃をFC東京に展開され、為す術のない前半を見せてしまった。
鹿島は右SBに小田を起用したがハマらず、町田や土居も精彩を欠いた。
ACLからの連戦の影響もあったが、それでも勝点1を拾う試合が見たかった。鹿島は自らのゲームで、FC東京を勢いに乗らせてしまった。
第8節ホームベガルタ仙台戦
○1-0
怪我で出遅れていた白崎がリーグ戦初先発。
このゲームでは安部・白崎・土居のテクニシャンがピッチに揃い、「NEW鹿島」の可能性を感じさせた。
新加入ながら安西や安部とのコンビネーションの良さを感じさせる白崎の器用さは、2019年の鹿島を救う事になる。
一方で右SBで起用された小田のプレーは不安定で、「内田離脱・西の移籍」の影響を感じざるをえなかった。6節から続く右SB問題はこのゲームまで続く。
第9節アウェイ横浜F・マリノス戦
●1-2
三竿がボランチにスタメン復帰、そして永木が右SBのスタメン起用となった。
左SHは前節に引き続き白崎がスタメンを張り、安部は前節と同じく右サイド起用となった。
左サイドから白崎&安西のコンビネーションから先制点を得るも逆転負けを喫してしまう。しかし、シーズン序盤よりも戦い方やコンビネーションは少しずつ向上していることを感じさせるゲームでもあった。
また、永木がSBとして一定水準以上のパフォーマンスを見せたことも重要なゲームだった。
内田の怪我に起因した「鹿島の右SB問題」に対する一旦の解決策を見出したゲームだった。
第10節ホーム清水エスパルス戦
○3-0
前節に引き続き、三竿がボランチのスタメン、永木が右SB起用となった。このゲームでは安部ではなくレアンドロが右SHのスタメンに起用された。
土居が躍動し始めたのはこのゲームあたりからだったと記憶している。
右サイドではレアンドロが相手を翻弄し、左サイドは相変わらず安西が切り込み隊長としてチームを牽引した。
このゲームでは三竿を含めた安定したビルドアップが見られ、チームの進化を実感した。大岩監督はこのゲームの出来を見て、この先発メンバー(永木のSB、三竿のボランチ、土居のFW、白崎のSH)に対して自信を深めたに違いない。
ゲーム序盤の清水のFKがゴールラインを割ったがゴール判定されなかったという誤審も忘れてはいけない。
第11節アウェイヴィッセル神戸戦
○1-0
DFラインにはスンヒョンが怪我から復帰した。FWには2019シーズン初となるセルジーニョと土居のコンビが入る。
このFWコンビが鹿島の2019年の基本形になるのだが、そのきっかけとなるゲームだった。今シーズンの鹿島のメジャーアップデートとも言える布陣だ。
土居と白崎が中間ポジションを支配することで、鹿島はゲームを支配した。右サイドではレアンドロがレオやセルジーニョとのコンビネーションを見せてアクセントを加えた。
このゲームのセルジーニョのゴールは今シーズンベストの類のゴールだったと思う。
昨シーズン限りで鹿島を離れた西大伍との戦いが見れなかったのは残念だった。
第12節ホーム松本山雅戦
○5-0
会心の勝利だった。
先発は前節の神戸戦と同じメンバー。大岩監督はこの11人でのプレーに間違いなく手応えを感じていた事だろう。
※この試合のメンバーは以下
GK クォン スンテ
DF 永木、チョン スンヒョン、犬飼、安西
MF 三竿、レオ シルバ、レアンドロ、白崎
FW 土居、セルジーニョ
松本山雅戦も前節以上に、内容も結果も、充実の試合となった。
- 三竿が入る事でビルドアップに安定が生まれた事
- 土居が中間ポジションで相手をかき回す事
- 白崎が献身的に動き守備に安定が生まれた事
- レアンドロがレオとセルジーニョとのトリオでコンビネーションを発揮する事
- 永木のSBが対人で負けないこと
- セルジーニョの技術でチャンスをモノにする事
これらの要素が歯車のように絡み合い、チームとして良い状態で試合に臨めていた。
会心のリーグ3連勝だ。
第13節アウェイサガン鳥栖戦
●0-1
このゲームはACLから中三日のアウェイゲーム。前節の先発から永木を休ませ、右SBとして山本脩斗が出場した。その他の10名は同じ。
豊田を始めとするサガン鳥栖の選手たちの献身的な守備は連戦の鹿島を苦しめ、後半アディショナルタイムに豊田に勝ち越しゴールを奪われてしまった。
このゲームは非常にインテンシティが高く、「嫌な相手と、嫌なタイミング」で試合する事になってしまった。
三竿がパワフルなプレーでチームを牽引してくれたものの、難しいゲームとなってしまった。
安西と金崎のバトルは見応えのあるものだったが、苛立ちを見せてしまった安西が金崎の術中にハマってしまった感じだろう。
先発に入った山本脩斗もプレーのクオリティは高くなく、苦しいチームを助けることは出来なかった。
第14節アウェイガンバ大阪戦
△1-1
前節で連勝が途切れた鹿島。
このゲームではレオ・シルバがコンディション不良で欠場。
永木と三竿がボランチでコンビを組み、山本脩斗が右SB、中村充孝が2019年リーグ戦初先発となった。
ガンバ大阪が3-1-4-2という、今シーズン初めて戦う陣形だった事もあり、鹿島は数的優位や位置的優位を簡単に作られてしまう。
右サイドの山本・中村充孝は低調なパフォーマンスで、チームを助ける事は出来なかった。
一方で土居・白崎・安西のプレークオリティは相変わらず高く、土居の美しい同点ゴールも、これまた今シーズンベスト級の素晴らしいゴールだった。
第15節ホームセレッソ大阪戦
○2-0
このゲームもレオが先発を外れ、名古がリーグ戦初先発となった。その他の10名は神戸戦・松本戦と同じ基本陣形だ。
レアンドロの守備の立ち位置が悪く、序盤はセレッソ大阪の丸橋に好き放題にプレーさせてしまったが、後半からは修正。
三竿を中心として守備からチームを立て直し、セルジーニョのPKと白崎のスーパーミドルで2点を奪った。
攻められるシーンも多かったが、DFラインとスンテを中心にゲームをクローズさせた。
小池が初出場を果たし、上々のキレを見せてくれたのも好材料だった。
第16節アウェイ浦和レッズ戦
△1-1
ACLの日程調整の関係で7月に行われたレッズ戦。
スタメンは
GK スンテ
DF 永木、犬飼、町田、小池
MF 三竿、名古、レアンドロ、白崎
FW 土居、セルジーニョ
ナイトゲームにも関わらず気温31.2度・湿度64.0%の猛烈な暑さに見舞われた試合だった。
猛烈な暑さにも関わらず浦和レッズは積極的にプレスをかけてきた。鹿島はそこを上手くいなす事は出来ず、相手にボールを明け渡してしまう場面が多かった。浦和のFWに入った興梠・武藤の連動も鹿島を苦しめた。
鹿島の先制点のシーンでは土居聖真が得意の中間ポジションから浦和を崩し、伊藤翔のゴールをアシストした。
苦しい試合の中で土居や名古がキレのある動きを見せ、上田綺世のJリーグデビュー戦もこのゲームとなった。
第17節ホームサンフレッチェ広島戦
△2-2
ACLで広島とホーム&アウェイの連戦をした後に、また広島と戦う。難しいゲームだ。
また、鹿島は前半戦で攻撃を牽引してきた安西が負傷離脱&海外移籍でチームから離れてしまう。
左SBのスタメンには小池が入った。小池はJリーグ初先発となる。左SHには山口が入り、FWは土居聖真と伊藤翔のコンビ。
絶対的な存在であった安西の移籍はチームに大きな影響を及ぼすと考えられたが、小池が素晴らしいパフォーマンスを見せる。
この日の2点目は小池のキャノン砲から町田のゴール(実質小池のゴール)が生まれた。対人でも負ける事はなく、守備時のポジショニングには不安が残るものの今後の活躍を期待出来る充実のプレーぶりだった。
一方で、チームとして後半アディショナルタイムに同点ゴールを許す稚拙なゲームマネジメントは「鹿島らしくない」ものだった。それも、後半アディショナルタイムにゴールを許すのは鳥栖戦でも味わっているだけに、余計に気になるところだ。
広島とのACL~Jリーグの3連戦は、1勝1敗1分で終えることとなる。
[18節以降は後半に続く]