2018シーズンのJ2最終節が終了した。鹿島アントラーズから町田ゼルビアに期限付き移籍している平戸太貴がシーズン17アシストで、見事J2アシスト王に輝いた。今回は「Jリーグのアシスト記録」という観点から、平戸の記録を考えてみたい。
2018年のJ2リーグアシストランキング
まずは今年のJ2リーグのアシストランキング上位の選手を振り返ろう。なお、本記事におけるデータはデータスタジアム株式会社の「Football LAB」さんのデータを参照させていただいた。
順位 | 名前 | 所属チーム | アシスト数 | 出場試合数 | 1試合平均 |
1位 | 平戸太貴 | 町田 | 17 | 40 | 0.425 |
2位 | レアンドロ・ドミンゲス | 横浜FC | 14 | 38 | 0.368 |
3位 | 田中達也 | 熊本 | 12 | 42 | 0.285 |
4位 | 小塚和季 | 甲府 | 11 | 31 | 0.354 |
5位 | 松本怜 | 大分 | 10 | 42 | 0.238 |
6位 | 渡辺皓太 | 東京V | 9 | 36 | 0.25 |
6位 | 佐々木匠 | 讃岐 | 9 | 40 | 0.225 |
(参照:Football LAB)
突出した平戸太貴
こちらのデータを見ても、平戸太貴の成績が2018シーズンのJ2で突出していたことは明らかだろう。アシスト数17はダントツのトップ、1試合平均でも他の追随を許さない。
鹿島の選手との比較
まだJ1はシーズンが終わっていないが、レンタル元である鹿島の選手たちの成績と比較したい。
平戸太貴:8ゴール17アシスト(40試合)
鈴木優磨:9ゴール11アシスト(30試合)
土居聖真:5ゴール2アシスト(28試合)
遠藤康:4ゴール0アシスト(18試合)
西大伍:3ゴール3アシスト(21試合)
※鹿島の選手はあと2試合を残す状態
J2の方が試合数が多く、ましてや所属クラブが異なるので一概には比較できない。そこは承知の上で、鹿島の選手の今年のスタッツと比較しても、平戸の成績が素晴らしいことは分かっていただけるだろう。
今シーズンの鹿島で最も記録を残した優磨でさえ、Jリーグでのゴール・アシストの合計は20。平戸は25だ。
過去のJ2アシスト記録との比較
今シーズンの平戸の記録を、過去のJ2アシスト記録と比較してみよう。
シーズン | 名前 | 所属チーム | アシスト数 | 出場試合数 | 1試合平均 |
2018 | 平戸太貴 | 町田 | 17 | 40 | 0.425 |
2017 | ガブリエル・シャビエル | 名古屋 | 14 | 16 | 0.875 |
2016 | 瀬川祐輔 | 群馬 | 11 | 42 | 0.261 |
2016 | エスクデロ 競飛王 | 京都 | 11 | 38 | 0.289 |
2015 | 高地系治 | 岐阜 | 11 | 41 | 0.268 |
2015 | 兵働昭弘 | 大分 | 11 | 33 | 0.333 |
2014 | 永木亮太 | 湘南 | 11 | 31 | 0.354 |
2013 | クリスティアーノ | 栃木 | 14 | 40 | 0.35 |
2013 | 遠藤保仁 | G大阪 | 14 | 33 | 0.424 |
2013 | 二川孝広 | G大阪 | 14 | 36 | 0.388 |
2012 | 兵働昭弘 | 千葉 | 13 | 41 | 0.317 |
(参照:Football LAB)
歴代のJ2アシスト記録を見ても、今年の平戸のアシスト数は1位であることが分かった。2017シーズンのガブリエル・シャビエルが記録した16試合14アシストというのは怪物級の数字だが、シーズン通しで見たときには平戸の記録が歴代1位だ。1試合平均のアシスト0.425というのもシャビエルに次いで2位。2013年の遠藤保仁をも超える数字だ。
平戸の今シーズンの成績の素晴らしさは、過去との比較でも明白だった。いや、それどころか過去最高レベルの数字であった。ちなみに、J1でもシーズン17アシストを記録した選手は過去にいない。(2014年の遠藤保仁の14アシストが最高記録)
※ちなみに、私が調べたところによると2011年以前の公式データは見つかりませんでした。もしご存知の方いればコメント欄等でコメントいただけますと幸いです。
レンタル期間後の平戸太貴に期待すること
この成績であれば平戸は来シーズンの鹿島に帰ってくることだろう。気になるのはポジションだ。町田でも起用が多かったサイドハーフなのか、それとも本来のポジションであるボランチなのか。
ボランチであれば、ライバルは三竿・レオ・永木・小笠原と、ポジション争いは苛烈である。しかし、平戸のセットプレーは今の鹿島に入っても屈指の精度であることも確か。このポジションで定位置を掴むようなことがあれば日本代表の扉も開けてくるだろう。
小笠原が健在のうちに隣でプレーすることは大きな財産になるだろうし、ひとつしか歳の違わない健斗と優磨は鹿島での定位置確保をきっかけに日本屈指の選手に成長した。今度は自分の番だと、おそらく平戸自身も思っていることだろう。
ボランチではなくサイドハーフ起用という選択肢もあるだろう。今年の鹿島はサイドハーフ不足に悩まされた。私個人としてはボランチで起用してほしいと思っているが、サイドハーフでのポジション争いに加わることもあり得ると思う。
鹿島史上最高のキッカーを目指せ
私が平戸に期待することはただひとつ。「右足のキック」という武器だけをひたすらに磨いてほしいということ。何でもできる選手でなくていい。たった一つだけスペシャルなものを身に付けてほしい。
数十年後に「平戸のフリーキックは凄かったよなぁ」と語り継がれるような選手になってほしい。今からその活躍を楽しみにしている。