2/16のルヴァンカップ名古屋戦直前。ようやく鹿島アントラーズの2020年シーズンが本格始動する。
今はその前夜で、興奮をおさえきれないのでこの文章を書いている。
ようやく、ようやく鹿島の2020年が始まる。
この記事では、私から今年の鹿島アントラーズ全選手への期待を込めた文章を書いていく。名古屋との試合前に、ワクワクする気持ちを抑えながら読んでもらえると幸いだ。
クォン スンテ
昨シーズンは鹿島に来てから最も試合に出場したシーズン(公式戦46試合出場)となった。出場時間4095分は全選手の中でも最多だった。
しかしスンテの奮闘虚しく、チームは無冠に終わった。
今年はスンテとJリーグタイトルを取りたい。
スンテは自らの持つリーダーシップを、時折我慢しているように見える事もある。今年は剥き出しのスンテが見たい。この若いチームで、勝利の味を一番知っているのはスンテだ。
内田篤人
昨年は公式戦12試合出場と不本意なパフォーマンスに終わった。
リーグ終盤戦でもチームに貢献できず、本人もキャプテンとして人一倍悔しかった事だろう。
今年はキャプテンの重責からも一旦解放され、自分のコンディションと向き合って広瀬陸斗や伊東幸敏と真剣勝負のポジション争いを見せてほしい。
今年の鹿島がヨーロッパ型のスタイルに近くなった事で、本人もプレーしやすくなるかもしれない。あるいはチームのスタイルが固まることで、内田が気を遣う部分が減るかもしれない。
コンディションさえ整えば、内田篤人は国内最高の右SBだ。いや、日本人歴代最高の右SBだ。内田篤人ここにありを、ピッチの上で見せてほしい。
奈良竜樹
背番号3を継ぐ男。
鹿島アントラーズの背番号3を、新加入の選手がいきなり着けるのは初めての事。
それだけにサポーターの見る目は厳しいかもしれない。
それでも雑音には耳を貸さずに「奈良らしいプレー」を見せてほしい。鹿島の強化部はそこに惚れたはず。奈良らしいプレーに背番号3を与えたはずだ。
レオ シルバ
昨シーズンは公式戦41試合に出場。
制約の少ない大岩監督のスタイルには、個の力が抜きん出ているレオは欠かせない選手だったが、今シーズンはそうはいかないかもしれない。
ザーゴの求めるスタイルへの順応には、レオのプレーのUPデートは必須のようにも感じる。
同じポジションの名古は着実に実力をつけてきている。おそらくザーゴのスタイルへの順応も早いだろう。
これまでのレオとどのようにプレーが変わっていくのか、注目していきたい。
杉岡大暉
湘南加入以降、チームの主軸を担い続けてきた選手が鹿島を選んでくれた。
しかし鹿島には熾烈な競争も待っている。
昨シーズンのアシスト王・永戸と、鹿島の左サイドを支えてきた山本脩斗とのポジション争いはJリーグでも屈指のものとなるだろう。
それを承知で鹿島にやってきた。
その心意気や良し。
見据える先は東京オリンピックだけではなく、A代表の左SB、そして世界を舞台にした戦いであろうと思う。だからこそ、このタイミングでの鹿島だ。
鹿島がリーグタイトルを奪還するために、活躍してもらわないと困る選手だ。
ちなみに私はYouTubeで「杉岡に似てる」と言われるので、個人的にも頑張ってほしい。
永木亮太
昨シーズンは右SBを中心に全選手最多の50試合出場。
今年は昨シーズンよりボランチでの起用が増えるはず。
ボランチのライバルは今年もJリーグ屈指の陣容だ。ボランチに与えられる役割も昨年より大きく変化し、永木自身もプレースタイルの修正を強いられる事だろう。
それでも、誰よりも身体を張ってチームに献身する永木は、今年もチームを救ってくれるはず。
リーダーとしてもチームを引っ張っていってほしい。
ファン アラーノ
ブラジルから来た期待の新鋭。
異次元の技術やスピードを持つわけではなさそうだが、連続性のある動きは鹿島の新たなチームスタイルに溶け込んでいく事だろう。
アラーノとエヴェラウドの比較対象はセルジーニョ。稀に見る決定力を持ったセルジーニョの得点力の穴を、2人の得点力で埋めてもらわなければ困る。
公式戦30試合以上に出場し、10ゴールに絡むくらいの数字は期待したい(昨年の白崎くらいの数字)。
土居聖真
昨シーズンはサポーターの選ぶMVP。49試合出場9得点と数字の面でもチームに貢献した。
今年は土居聖真も昨年とスタイルを変える必要が出てくるだろう。
昨年はボランチの位置まで降りたり、ライン間で受けたり、という仕事が多かったが、今年はその仕事をSHが担う事になりそうだ。土居には裏抜けのプレーを要求されるような気もする。
昨年がフィルミーノなら、今年はグリーズマンのような動きだ。
パス&ムーヴが得意なアラーノとの化学反応を見たい。
エヴェラウド
期待の点取り屋。
久しぶりに点取り屋らしい点取り屋が来たという印象だ。
ゴール前で感情を剥き出しにするFWは金崎と優磨以来。
こういうFWを相手は怖いと思うはず。
今年の鹿島はチャンスメーカーは多い。クロッサーも多い。
CFが最後の仕事で相手に競り勝てるか、駆け引きで勝てるか。そこにかかっている。
セルジーニョが昨年取った20得点にどれだけ迫れるか。
和泉竜司
名古屋から来たオールラウンダー。
名古屋では主軸を担っていたが、鹿島を選んでくれた。テクニックは非凡で、献身性もある。
ただ、プレーが優しすぎると感じる事も少なくない。
「器用なグッドプレイヤー」でキャリアが終わらないように、鹿島で一皮むけてA代表にだって絡んでいってほしい。
永戸勝也
珠玉の左足を持つJ1アシスト王。
昨シーズン記録したアシストは10。ちなみに、リヴァプールのアレクサンダー・アーノルドはDFながら12アシストを記録して「プレミアリーグのディフェンダーアシスト記録」を更新した。
これからのSBは、一撃でゲーム展開を変えるフィードを持つ選手が重宝され、いつの日かスタンダードになる事だろう。
永戸はそれが出来る数少ない選手。
永戸の左足から、セットプレーの得点数増加にも期待したい。
伊藤翔
昨シーズンは15ゴール。開幕から連続ゴールを決め、序盤戦にチームを牽引してくれた。
ザーゴがFWの組み合わせを「1TOP+セカンドトップタイプ」をベースにするならば、トップの枠は1つしかない。
この枠を、エヴェラウド・綺世・染野と争っていく。
コンディションさえ整っていれば、決定力は疑いようがない。昨シーズンはタスク過多でゴールから遠い場所での仕事も多かったが、今年はゴール前での仕事が増えそうだ。
元来のワンタッチゴーラーとしての素質に期待したい。
山本脩斗
近年の鹿島の優勝の味を知る男。しかしながら、昨シーズンは11試合の出場に留まった。
杉岡・永戸という強烈なライバルが加入したが、左右どちらのサイドもこなせる山本は彼らとは違った良さを持つ貴重な選手。
もしかすると右サイドでの起用がこれまでよりも増えるかもしれない。
高さを持ちつつ守備も安定したSBは今年の鹿島でも重宝されるだろう。
ブエノ
昨シーズン、持ち合わせた才能がようやく開花した感のあるCB。
高さ・速さ・強さという分かりやすいストロングポイントを持ち、しかもそのストロングポイント(特に速さと強さ)がJリーグを見渡しても最強レベル。
持って生まれたフィジカルの要素に大きくアドバンテージのある選手なので、あとは心と頭、そして技術が成熟すれば間違いなくJリーグ最強のDFとなる。
鹿島はブエノを中東のクラブに取られないように細心の注意を払ってほしい。
染野唯月
鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身、尚志高校経由、鹿島入り。
彼に与えられた背番号19が、期待の大きさを物語る(鹿島の高卒選手は20番台以降を着ける事が多い)。
どうしても大迫勇也と比べられてしまうが、染野は染野の色を出してほしい。
とは言いながらも、一応こんなものを。
大迫の高卒1年目:25試合3得点
鈴木優磨の高卒1年目:10試合2得点
さて、染野は何試合に出場して何得点するだろうか。
三竿健斗
今年の鹿島のキャプテン。
常に自分を客観視し、少しずつプレーをUPデートしている聡明な選手。
ザーゴスタイルのビルドアップでは、三竿ほど適任なボランチはいない。CBの間に下りて、後方からゲームを作る事に関しては三竿と同じクオリティを持つ選手はいないだろう。
日本には数少ない、「アンカー」と呼ばれるポジションが適任な選手だ。
今年の三竿は昨年よりも一層、相手ゴールから遠い場所でゲームを作る事を求められるかもしれない。しかしその変化は彼のプレースタイルを更に深化させられるものだと私は信じている。
ボールの置きどころ、捌き方、リズム、フィードの精度。全てに成長を感じられる彼が、最後方から鹿島の攻撃をダイナミックに指揮していってほしい。