「サッカーのGK6秒ルール、厳密には守ってないよなぁ」
漠然と思っていたこの疑問に対する検証を実施した。対象は2020年J1リーグ第1節。GKが手でボールを持ったシーンをカウントし、それぞれ何秒ボールを持っていたか。6秒ルールを完璧に守ってるGKはJ1にいたのか。
- 1 6秒ルールとは?
- 2 調査対象
- 3 動画
- 4 検証結果
- 5 何秒からを「長い」と感じるのか?
- 6 実態に即してないルール
- 7 各GKの手で持ってた時間
- 7.1 前川黛也(ヴィッセル神戸)
- 7.2 六反勇治(横浜FC)
- 7.3 朴一圭(横浜F・マリノス)
- 7.4 東口順昭(ガンバ大阪)
- 7.5 大迫敬介(サンフレッチェ広島)
- 7.6 クォンスンテ(鹿島アントラーズ)
- 7.7 ネト ヴォルピ(清水エスパルス)
- 7.8 林彰洋(FC東京)
- 7.9 キムジンヒョン(セレッソ大阪)
- 7.10 高木駿(大分トリニータ)
- 7.11 チョンソンリョン(川崎フロンターレ)
- 7.12 高丘陽平(サガン鳥栖)
- 7.13 キムスンギュ(柏レイソル)
- 7.14 クソンユン(コンサドーレ札幌)
- 7.15 スウォビィク(ベガルタ仙台)
- 7.16 ランゲラック(名古屋グランパス)
- 7.17 富井大樹(湘南ベルマーレ)
- 7.18 西川周作(浦和レッズ)
6秒ルールとは?
6秒ルールについて、競技規則第12条を引用させていただこう。
ゴールキーパーが自分のペナルティーエリア内で、次の反則のいずれかを犯した場合、間接フリーキックが与えられる
◦ ボールを放すまでに、手または腕で6秒を超えてコントロールする。(中略)
ゴールキーパーがボールを手でコントロールしていると判断されるのは次のときであ
る
◦ ボールがゴールキーパーの両手で持たれているとき、または、ボールがゴールキーパーの手と他のもの(例えば、グラウンド、自分の体)との間にあるとき、ボールに手または腕のいずれかの部分で触れているとき。ただし、ボールがゴールキーパーからはね返った、または、ゴールキーパーがセーブした場合を除く。
◦ ゴールキーパーが広げた手のひらでボールを持っているとき
◦ ボールを地面にバウンドさせる、または、空中に投げ上げたときIFAB競技規則第12条より
調査対象
今回の調査の対象としたGKは以下の18名。※柏の滝本(途中出場)は1度しかプレー機会が無かったので調査対象外としている。
- 前川黛也(ヴィッセル神戸)
- 六反勇治(横浜FC)
- 朴一圭(横浜F・マリノス)
- 東口順昭(ガンバ大阪)
- 大迫敬介(サンフレッチェ広島)
- クォンスンテ(鹿島アントラーズ)
- ネト ヴォルピ(清水エスパルス)
- 林彰洋(FC東京)
- キムジンヒョン(セレッソ大阪)
- 高木駿(大分トリニータ)
- チョンソンリョン(川崎フロンターレ)
- 高丘陽平(サガン鳥栖)
- キムスンギュ(柏レイソル)
- クソンユン(コンサドーレ札幌)
- スウォビィク(ベガルタ仙台)
- ランゲラック(名古屋グランパス)
- 富井大樹(湘南ベルマーレ)
- 西川周作(浦和レッズ)
動画
検証結果をまとめた動画はこちら。
検証結果
文字でも検証結果をまとめておく。
前川黛也(ヴィッセル神戸)・クソンユン(コンサドーレ札幌)・ヤクブ・スウォビィク(ベガルタ仙台)の3名は、ボールを手で扱った全てのプレーを6秒以内に処理していた。
「GKの6秒ルール、厳密に守ってるGK0人説」は立証されなかった。
今回の調査をサマリーにすると、2020年J1第1節では計107回、GKが手でボールを持ってプレーする機会があり、そのうちの45回が6秒を超えていた。全体のプレーの42%が、6秒ルールを守っていなかった事になる。
ボールを手で保持していた合計時間が最も長かったのは高丘陽平(鳥栖)の78.07秒。次いで東口(ガンバ)の72.56秒。サッカーの試合時間が90分であることを考えると、彼らは90分の1にあたる時間をコントロールしていた事になる。
逆にボールを手で保持する合計時間が短かったのはスウォビィク(仙台)で8.25秒。次いでパクイルギュ(マリノス)の14.43秒。彼らは平均して3秒以内にボールを処理していた。ボールを掴む前からある程度投げる場所を想定しているような素早いプレーが目立った。
ちなみにこの調査は「全て6秒以内で処理したから素晴らしい」とか、「ボールを持ちすぎているから問題だ」という話ではない。スコアやチームのスタイルに合わせてGKはプレーしているので、ボール保持時間によって良い悪いを語りたいわけではない。
何秒からを「長い」と感じるのか?
今回の調査をして、何となく感じた事がある。
GKがボールを持って、何秒経過したら「ボールを持ちすぎ」と感じるのか。
私の体感では10~12秒を経過したあたりで「ちょっと長いかも」と思い始め、14~15秒を経過すると「長い!」と感じる。ルールで定められてる6秒を超えても、10秒を経過するくらいまでは特に「長い」と感じる事は無かった。
実際にJ1リーグの選手のアクションを見てみても、相手GKが手でボールを持つ時間が10秒程度を経過するまでは、レフェリーにアピールをする選手はいなかった。10秒を経過したあたりから「ボール持ち過ぎじゃない?」というアピールをする選手がいる、という感じだ。
実態に即してないルール
このように、サッカーの6秒ルールは実態に即してないと言える。
私のように細かい人間はルールと実態に乖離があると少し気になってしまう所ではあるが、多くのサッカー選手は現状のルールに不満を持っていないであろう。
現状の6秒ルールの実態についてプレイヤー側は特に不満は無いかもしれないが、レフェリーからは少々難しい状況とも言える。多くのプレーが6秒を超えてる中で、どのプレーには反則を取るのか、取らないのか。その線引きはレフェリーに委ねられていると言って良い。
サッカーの歴史を紐解くと6秒ルールの前には、「GKがボールを手で持てるのは4歩まで」というルールがあった。6秒ルールに変化が生まれる日も来るのかもしれない。
各GKの手で持ってた時間
最後に、それぞれの手でボールを扱った時間をまとめて記しておく。
※「計測不可」となっている箇所は、カメラが切り替わってしまったりハイライトを映していたために計測できなかったもの。
前川黛也(ヴィッセル神戸)
名前 | 所属 | 時間 |
前川黛也 | ヴィッセル神戸 | 5.7 |
前川黛也 | ヴィッセル神戸 | 5 |
前川黛也 | ヴィッセル神戸 | 6 |
前川黛也 | ヴィッセル神戸 | 3.16 |
前川黛也 | ヴィッセル神戸 | 5.44 |
平均 | 5.06 |
六反勇治(横浜FC)
名前 | 所属 | 時間 |
六反勇治 | 横浜FC | 8 |
六反勇治 | 横浜FC | 10.33 |
六反勇治 | 横浜FC | 15.27 |
六反勇治 | 横浜FC | 9 |
六反勇治 | 横浜FC | 11.75 |
平均 | 10.87 |
朴一圭(横浜F・マリノス)
名前 | 所属 | 時間 |
朴一圭 | 横浜F・マリノス | 7 |
朴一圭 | 横浜F・マリノス | 0.86 |
朴一圭 | 横浜F・マリノス | 3.75 |
朴一圭 | 横浜F・マリノス | 1.93 |
朴一圭 | 横浜F・マリノス | 0.89 |
平均 | 2.886 |
東口順昭(ガンバ大阪)
名前 | 所属 | 時間 |
東口順昭 | ガンバ大阪 | 5.88 |
東口順昭 | ガンバ大阪 | 3.8 |
東口順昭 | ガンバ大阪 | 7.28 |
東口順昭 | ガンバ大阪 | 12.52 |
東口順昭 | ガンバ大阪 | 13.76 |
東口順昭 | ガンバ大阪 | 3.22 |
東口順昭 | ガンバ大阪 | 7.1 |
東口順昭 | ガンバ大阪 | 6 |
東口順昭 | ガンバ大阪 | 13 |
平均 | 8.062 |
大迫敬介(サンフレッチェ広島)
名前 | 所属 | 時間 |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | 2.33 |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | 1.56 |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | 3.79 |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | 2.29 |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | 9.22 |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | 10.93 |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | 5.23 |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | 2.32 |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | 2.5 |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | 14 |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | 8.03 |
平均 | 5.654 |
クォンスンテ(鹿島アントラーズ)
名前 | 所属 | 時間 |
クォンスンテ | 鹿島アントラーズ | 7.9 |
クォンスンテ | 鹿島アントラーズ | 1.93 |
クォンスンテ | 鹿島アントラーズ | 2.25 |
クォンスンテ | 鹿島アントラーズ | 6.12 |
クォンスンテ | 鹿島アントラーズ | 5 |
平均 | 4.64 |
ネト ヴォルピ(清水エスパルス)
名前 | 所属 | 時間 |
ネト ヴォルピ | 清水エスパルス | 7.5 |
ネト ヴォルピ | 清水エスパルス | 2.52 |
平均 | 5.01 |
林彰洋(FC東京)
名前 | 所属 | 時間 |
林彰洋 | FC東京 | 3.4 |
林彰洋 | FC東京 | 4.9 |
林彰洋 | FC東京 | 3.05 |
林彰洋 | FC東京 | 7 |
林彰洋 | FC東京 | 2.04 |
林彰洋 | FC東京 | 3.85 |
林彰洋 | FC東京 | 10 |
林彰洋 | FC東京 | 6.06 |
林彰洋 | FC東京 | 11.87 |
平均 | 5.796 |
キムジンヒョン(セレッソ大阪)
名前 | 所属 | 時間 |
キムジンヒョン | セレッソ大阪 | 計測不能 |
キムジンヒョン | セレッソ大阪 | 5.28 |
キムジンヒョン | セレッソ大阪 | 10.69 |
平均 | 7.985 |
高木駿(大分トリニータ)
名前 | 所属 | 時間 |
高木駿 | 大分トリニータ | 10.96 |
高木駿 | 大分トリニータ | 5.39 |
高木駿 | 大分トリニータ | 2.45 |
高木駿 | 大分トリニータ | 6.65 |
高木駿 | 大分トリニータ | 計測不能 |
高木駿 | 大分トリニータ | 3.95 |
平均 | 5.88 |
チョンソンリョン(川崎フロンターレ)
名前 | 所属 | 時間 |
チョンソンリョン | 川崎フロンターレ | 10.05 |
チョンソンリョン | 川崎フロンターレ | 7.36 |
チョンソンリョン | 川崎フロンターレ | 10.05 |
チョンソンリョン | 川崎フロンターレ | 6 |
チョンソンリョン | 川崎フロンターレ | 2.71 |
平均 | 7.234 |
高丘陽平(サガン鳥栖)
名前 | 所属 | 時間 |
高丘陽平 | サガン鳥栖 | 8.1 |
高丘陽平 | サガン鳥栖 | 2.82 |
高丘陽平 | サガン鳥栖 | 13.85 |
高丘陽平 | サガン鳥栖 | 12 |
高丘陽平 | サガン鳥栖 | 3.78 |
高丘陽平 | サガン鳥栖 | 10.5 |
高丘陽平 | サガン鳥栖 | 13.7 |
高丘陽平 | サガン鳥栖 | 13.32 |
平均 | 9.758 |
キムスンギュ(柏レイソル)
名前 | 所属 | 時間 |
キムスンギュ | 柏レイソル | 6.25 |
キムスンギュ | 柏レイソル | 4.5 |
キムスンギュ | 柏レイソル | 1.82 |
キムスンギュ | 柏レイソル | 測定不可 |
キムスンギュ | 柏レイソル | 10.42 |
キムスンギュ | 柏レイソル | 1.82 |
キムスンギュ | 柏レイソル | 11.47 |
平均 | 6.046 |
クソンユン(コンサドーレ札幌)
名前 | 所属 | 時間 |
クソンユン | コンサドーレ札幌 | 1.66 |
クソンユン | コンサドーレ札幌 | 5.9 |
クソンユン | コンサドーレ札幌 | 4.1 |
クソンユン | コンサドーレ札幌 | 5.55 |
クソンユン | コンサドーレ札幌 | 2.08 |
クソンユン | コンサドーレ札幌 | 1.62 |
クソンユン | コンサドーレ札幌 | 1.1 |
平均 | 3.144 |
スウォビィク(ベガルタ仙台)
名前 | 所属 | 時間 |
スウォビィク | ベガルタ仙台 | 1.26 |
スウォビィク | ベガルタ仙台 | 1.03 |
スウォビィク | ベガルタ仙台 | 2.22 |
スウォビィク | ベガルタ仙台 | 3.74 |
平均 | 2.062 |
ランゲラック(名古屋グランパス)
名前 | 所属 | 時間 |
ランゲラック | 名古屋グランパス | 3.32 |
ランゲラック | 名古屋グランパス | 2.51 |
ランゲラック | 名古屋グランパス | 5.78 |
ランゲラック | 名古屋グランパス | 2.58 |
ランゲラック | 名古屋グランパス | 1.55 |
ランゲラック | 名古屋グランパス | 5.4 |
ランゲラック | 名古屋グランパス | 14.69 |
平均 | 5.118 |
富井大樹(湘南ベルマーレ)
名前 | 所属 | 時間 |
富井大樹 | 湘南ベルマーレ | 測定不可 |
富井大樹 | 湘南ベルマーレ | 1.08 |
富井大樹 | 湘南ベルマーレ | 15.25 |
富井大樹 | 湘南ベルマーレ | 7.86 |
富井大樹 | 湘南ベルマーレ | 9.19 |
富井大樹 | 湘南ベルマーレ | 3.53 |
平均 | 7.382 |
西川周作(浦和レッズ)
名前 | 所属 | 時間 |
西川周作 | 浦和レッズ | 10.22 |
西川周作 | 浦和レッズ | 7.23 |
西川周作 | 浦和レッズ | 9.26 |
西川周作 | 浦和レッズ | 4.26 |
西川周作 | 浦和レッズ | 3.3 |
西川周作 | 浦和レッズ | 1.53 |
平均 | 5.966 |