2012年の鹿島アントラーズ回顧録:柴崎岳の才能と災難【第1節~第3節】

私がやっている水戸のパブリックバルのお客様から、昔の鹿島アントラーズの試合のDVDをいただいた。懐かしい試合をゆっくり見返し始めたのだが、当時の印象と今あらためて見る感想には乖離があって面白い。

せっかくなので、試合ごとにメモ程度に書き残した内容を公開しておきたいと思う。箇条書きで、しかも言葉遣いも悪くてごめんなさい。

第1節 ベガルタ仙台戦(0-1●)

GK 21 曽ヶ端 準
DF 7 新井場 徹
DF 3 岩政 大樹
DF 6 中田 浩二
DF 5 アレックス
MF 15 青木 剛⇒遠藤康
MF 14 増田 誓志
MF 40 小笠原 満男
MF 10 本山 雅志⇒柴崎岳
FW 9 大迫 勇也⇒興梠慎三
FW 8 ジュニーニョ

  • 中盤がダイヤモンドで、青木アンカーの小笠原と増田のインサイドハーフ、本山のトップ下
  • しかしダイヤモンドが全く機能せず。小笠原は結局ボランチの位置でプレーしてしまうが、定位置は一列前なので運動量が無駄になってる
  • 小笠原のパフォーマンスが想像よりも悪い。身体が動いてない。
  • DFラインからのビルドアップが全く上手く行かず。FWに蹴っ飛ばすのみ
  • 一番最初にビルドアップを助けにいったのが、アンカーでもなくインサイドハーフでもなくトップ下本山というヤバさ
  • 中田浩二が守備時にライン下げまくりでスペース空きまくり。DFラインでクリアしても拾われる。
  • 一方の鹿島攻撃時も間延びしてるのでセカンドボール拾えず
  • 青木を下げたのは分かるけど大迫を下げたのは謎
  • ジュニーニョの動きは悪くない。というかFWまでボール来ない
  • 岩政が中田浩二相方だとやりづらそう…?
  • アレックスはなぜ起用しているのか分からない……
  • 途中出場の柴崎と、大迫の2人だけが軽快にプレー。他の選手は身体が重そう
  • 曽ヶ端のキック◎。まだキック力衰えてない頃の曽ヶ端はとても良い
  • 総じて手倉森さんのベガルタ仙台の方がダイナミックで良いサッカーしてた
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第2節 川崎フロンターレ戦(0-1●)

GK 21 曽ヶ端 準 90分
DF 7 新井場 徹 90分
DF 3 岩政 大樹 90分
DF 6 中田 浩二 90分
DF 5 アレックス 90分
MF 20 柴崎 岳 90分
MF 14 増田 誓志 45分⇒山村和也
MF 40 小笠原 満男 62分⇒土居聖真
MF 25 遠藤 康 79分⇒岡本英也
FW 9 大迫 勇也 90分
FW 8 ジュニーニョ 90分

  • 中盤をダイヤモンドからボックスに変更。開幕よりボールの動かし方が幾分か良くなった
  • 幾分か良くなった最大の要因は2年目19歳の柴崎岳。FWに向けてボール蹴っ飛ばすばっかりの中、1人だけショートパスを引き出す動きを繰り返す。長短織り交ぜたパス捌きも披露。中間ポジションで受ける。首も振る。別格。
  • 柴崎と大迫はフィーリングが近いのか、2人が近くでプレーすると何か起きそうな予感。この2人からは「短い距離感のパスで崩したい」意思を感じる
  • 大迫は身体の使い方が上手く、相手をいなせるようになってきた頃だと思う。「無双」というレベルではないけど、大器の予感。
  • 小笠原はまたもパフォーマンス低調。土居への途中交代の判断は妥当。シュートが全部ミートせず、ふかしちゃう。縦パスも相手に引っかかりカウンターのきっかけに。
  • ジュニーニョはこのゲームも動き自体は悪くない。「なんとかしたい」という気持ちも感じる。ただ、柴崎と大迫からしかちゃんとしたパスが来ない
  • 大卒ルーキー山村和也はポジショニングで迷子になってる感。アンカーの役目果たせず。あまりポジショニングの指示を受けずにピッチに送り込まれた感もある。
  • 本来DFリーダーであるはずの中田浩二がビルドアップの問題やラインコントロールの問題に気付いてなさそうなのが一番ヤバいのかもしれない。対人でのボール奪取なんかは安定感あるんだけども。
  • アレックスはなぜ起用しているのか分からない……
  • 敗戦したが、開幕戦よりも若い選手を積極的に起用し、希望はいくらか見えた。土居や遠藤は足りない所が多いが、それでも活発に動く分、開幕戦のメンバーよりは良さそう。

第3節 サンフレッチェ広島戦(0-2●)

GK 21 曽ヶ端 準 90分
DF 7 新井場 徹 55分
DF 3 岩政 大樹 90分
DF 4 山村 和也 90分
DF 5 アレックス 90分
MF 14 増田 誓志 90分
MF 40 小笠原 満男 59分⇒青木剛
MF 20 柴崎 岳 90分
MF 25 遠藤 康 76分⇒昌子源
FW 8 ジュニーニョ 59分⇒興梠慎三
FW 9 大迫 勇也 90分

  • この頃の鹿島は広島に滅法弱かった印象。広島は森保監督で、寿人や高萩、千葉やミキッチなど粒ぞろい。
  • 中田浩二が膝痛で長期離脱。代わりに山村が先発。
  • 試合前コメントで森保さんから「鹿島はチームとして戦えてない」と、サラっとディスられる。悔しいけど的を得たコメント。
  • アレックスは体調不良なのにスタメンらしい。2021年の私は「それなら昌子源使ってよ」と思うけど、まぁ当時の判断としては難しいんだろう。
  • 大迫が左WGかというくらい左サイドでボールを受ける。戦術ではなく大迫の独断だと思うが、そこから度々チャンス演出。大迫は対人でほぼ負けず、若いながら前線でチームを引っ張る。
  • 右SHに入った柴崎は相変わらずセンス抜群。やっぱり柴崎からは「ショートパスをリズム良く繋いで崩したい」という意思を感じる。が、リズムの合う選手が大迫くらい。
  • 柴崎はランニングの質も良い。左から大迫、右から柴崎が崩すというゲームに。前2試合より良いゲーム展開。
  • 佐藤寿人に取られた1失点目はオフサイドっぽいけどちゃんとしたアングルのカメラ無いので分からず。
  • 広島はこの頃、変なゴールパフォーマンスしてたなぁ……
  • アレックスのプレークオリティが……
  • 小笠原のパフォーマンスも前2試合と変わらず低調。気持ちは入ってるようだけど、身体にはキレが無い。
  • 柴崎と大迫だけがトランジションでダッシュする。逆に言えば他の選手はボール取られてもダッシュしない。
  • というか、よく見たらFW2人と柴崎以外、ほとんどスプリントしてない。普通なら一番スプリントするはずのSBは2人ともほぼスプリント無し。攻撃に厚みが出ない理由かもしれない。
  • SBの2人は前に出るわけでも後ろのスペースをしっかり守ってくれるわけでもない中途半端さ。
  • たぶん柴崎は「チームが上手く行かない悔しさ」をエネルギーに変えてる。かなりの負けず嫌いなんだろう。
  • 広島のミキッチは32歳だけどキレキレ。フィットネスが良い。
  • 3試合連続スタメンの増田誓志は「ボールを散らす」事は出来るけど、効果的なパスはほとんど出ない。ライン間でボールを受けるわけでもなく、停滞の要因を作ってる。守備の強度も高くない。
  • 後半から中盤をダイヤモンドにして柴崎をアンカーに。今見ると、問題を見つけるごとにジョルジーニョの「柴崎、お前が何とかしてくれ!」感がエグい。
  • 新井場がDOGSO的なジャッジでレッドカード退場。でもギリギリボール行ってたので井上主審の誤審。後半の流れは悪くなかったのに一気にキツい状況に。
  • 退場の影響で青木投入、柴崎を右SBに。一番頑張ってる柴崎のポジションをコロコロ変える采配は中々見てられない。柴崎はこの頃SBで使われるの凄い嫌がってた記憶がある。災難。
  • 75分に昌子源がJリーグデビュー。昌子が右SBに入って柴崎を再び中盤に戻す。なぜ最初の交代で昌子を入れなかった……さすがに采配がキツすぎる。柴崎は試合中3回目のポジション変更。災難。
  • 昌子源は身体がまだ出来上がってないしトラップとか下手だけど、身体が動くので新井場より普通に良さそう。
  • 若き日のファン・ソッコが広島で途中出場。後にチームメイトになるんやで、君たち。
  • 退場の誤審が無ければ引き分けくらいには出来た試合かもしれない。でも問題は誤審よりも試合内容やチームのエネルギーの無さ。
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2012年1節~3節までの感想

2012年、2桁順位だったリーグ戦の最初の3試合は、なかなかヤバい状況だった。

一番の問題は戦術とか以前の所で、多くの選手の目が輝いてないように見える事、アグレッシブな姿勢が見えない事、お互いに指摘し合うような空気感が無い事。オフザピッチのどこに問題があったのか分からないけど、戦う準備が整っていないように見えた。

戦術的な所では「どんなサッカーを志向するチームなのか」というのが伝わらなかった。コンセプト不在のチーム。

大迫や柴崎は明らかに光るものがあり、遠藤や土居の動きも悪くはない。動きも活発で若い選手に希望は見える。しかし黄金期を作ったベテランたちの運動量が少なく、チームとして貪欲さやアグレッシブさに欠けている。明らかに世代交代に舵を切るタイミングなんだろうけど、試合で使えるようなクオリティの若い選手がそもそも少ない。ジョルジーニョの采配は気になる所が多いけれど、そもそも編成の時点で問題があったのかもしれない。

ジョルジーニョは明らかに柴崎のプレーを気に入ってるんだが、柴崎を中心に据えるわけではなく「問題のある所に柴崎を配置して解決してもらう」という使い方に見える。高卒2年目の柴崎には災難な開幕3試合だった。

 

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