2012年の鹿島アントラーズ回顧録:遠藤康の涙と梅鉢の台頭【第4節~第6節】

2012年、ジョルジーニョ率いる鹿島アントラーズの試合を観ての回顧録。

第4節 横浜F・マリノス戦(0-0△)

GK 21 曽ヶ端 準 90分
DF 22 西 大伍 90分
DF 3 岩政 大樹 90分
DF 4 山村 和也 90分
DF 5 アレックス 90分
MF 40 小笠原 満男 90分
MF 27 梅鉢 貴秀 76分⇒昌子源
MF 25 遠藤 康 68分⇒本山雅志
MF 20 柴崎 岳 90分
FW 9 大迫 勇也 90分
FW 13 興梠 慎三 81分⇒ジュニーニョ

  • 鹿島と同じく、開幕から未勝利のマリノスとのゲーム。中村俊輔がトップ下で出場。
  • 梅鉢が初出場。小笠原と組む。中村俊輔とマッチアップ。
  • 右SBに新井場に代わり西大伍が入る。FWにはジュニーニョに代わり興梠慎三。
  • 梅鉢がハツラツとプレー。3節までに出場したボランチ陣より運動量も多く、チャレンジの縦パスも多く、ずっと良い。しかし前半早々にエヒメッシを無理なタックルで止めて警告を貰ってしまったのが痛恨。
  • 興梠と大迫の連携が○。興梠がポストに入ってくれるので大迫の自由度が増してる。ジュニーニョの時には無かった連動が垣間見える。
  • アレックスはシンプルに走れてないし動きのキレが悪い。でも何本かクロスを入れるなど、前3試合よりは見てられる。
  • 柴崎岳は引き続き積極果敢。
  • 小笠原は中村俊輔への対抗意識を感じる。そういえば小笠原はいつも相手が強ければ燃えるタイプだった。
  • 興梠のポストプレーが素晴らしい。今のプレースタイルの片鱗はこの頃からあったのか。
  • 両チームとも何となくメンタル面が充実してない印象。淡白なゲーム展開。
  • 若い選手たち(柴崎や昌子や柴崎や大迫)からは「勝ちたい」「良くなりたい」というエネルギーを感じる。逆に言えばベテランの選手のメンタルが相当物足りない。
  • 本山を途中投入するも、空中をボールが飛ぶ展開なので活かしきれず。0-0のまま終了。
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第5節 浦和レッズ戦(1-3●)

GK 21 曽ヶ端 準 90分
DF 22 西 大伍 90分
DF 3 岩政 大樹 90分
DF 4 山村 和也 90分
DF 7 新井場 徹 68分⇒アレックス
MF 27 梅鉢 貴秀 90分
MF 40 小笠原 満男 70分⇒ドゥトラ
MF 25 遠藤 康 90分
MF 28 土居 聖真 53分⇒ジュニーニョ
FW 9 大迫 勇也 90分
FW 13 興梠 慎三 90分

  • とうとうアレックスを見切ったのか、西を右、新井場を左で先発起用。
  • 梅鉢が連続スタメン。柴崎はコンディション不良でベンチ外。代わりに土居が右MFで先発。
  • 鹿島ホームなのに、浦和レッズの応援の声量のデカさがやばい。音だけ聞いたら完全に埼スタ。
  • 1プレー目から梅鉢がタックルからボール奪取、大迫が1対1で仕掛けるなど、これまでの4試合とは違う充実した立ち上がり。
  • 梅鉢が2回目のボール奪取からサイドを駆け上がりクロス、興梠に合わせて先制点。5節目にして初ゴール。梅鉢最高かよ。
  • 点とった次のプレーでマルシオ・リシャルデスに決められて同点にされる。CBが2人とも前に釣られた裏を突かれる。
  • 更に次のプレーでポポに決められて逆転される。前半5分で1-2。なんだこの試合。
  • 岩政がボールに釣られると、西も山村もそのケアができないので死ぬっぽい。2人とも試合慣れしてないので、これは仕方ない感もあるのかな。
  • ボール回しは前4試合よりもずっとスムーズに。若い世代の選手たち同士では距離感が合うっぽい。
  • 新井場がマルシオ・リシャルデスを倒してPKを取られ、前半25分で3点目を取られる。厳密にはPAの外で倒したのでかなり怪しいジャッジ。
  • お互いに球際が激しいので面白い試合。レッズとの試合は熱い。
  • 後半に大迫がゴールネット揺らすも、謎のファウル判定で取り消される。大迫激怒。レフェリーの質が低いなぁ……
  • 遠藤康が中継役としてなんとかチームの攻撃のバランスを取る。ボール受けられるし失わない。安易なミスもしないんでジョルジーニョに信頼されてそう。
  • 後半からドゥトラ登場で梅鉢のワンボランチに。ドゥトラの交代で小笠原ではなく梅鉢を残した所を見ると、ジョルジーニョも梅鉢のパフォーマンスには納得してそう。
  • ゲームとしては押し込んでいるしシュートもそれなりに打ってるけど、崩せてない。それぞれがポジションを動かずに「FWよろしく」みたいな配球ばかりなので、FWに圧倒的な実力が無い限り難しい感じ。柴崎みたいなフリーランニングが必要。
  • そのまま1-3で敗戦。開幕から5試合勝ち無し。後半最後は浦和サポの声しか響かず、試合終了前に帰ってしまう鹿島サポも多数。ヤスが悔しくて試合後に泣いてる。

第6節 FC東京戦(2-1○)

GK 21 曽ヶ端 準 90分
DF 22 西 大伍 90分
DF 3 岩政 大樹 90分
DF 4 山村 和也 90分
DF 7 新井場 徹 90分
MF 27 梅鉢 貴秀 90分
MF 15 青木 剛 70分⇒昌子源
MF 25 遠藤 康 90分
MF 40 小笠原 満男 90分
FW 9 大迫 勇也 89分⇒増田誓志
FW 13 興梠 慎三 69分⇒ジュニーニョ

  • この時点で鹿島は5戦勝ち無しで最下位、FC東京は4勝1敗で2位とチームの調子はFC東京が上。
  • 青木が先発に入り、小笠原が右MF。柴崎はまたベンチ外。
  • FC東京がボールを支配し、鹿島はボールを引っ掛けたところからのカウンターが主体。支配率は東京60の鹿島40くらいだと思う。
  • 守備から入るゲーム展開のため、守備は穴が少なく安定したゲーム展開に。
  • 攻撃では興梠が良い仕事をしてくれる。何度もボールを引き出し、裏に抜け、とFWに必要な役割を全てやってくれている。興梠がいなければ攻撃は成立してない。
  • 大迫は点が取れてなくてチームも勝ててないので、イライラしてる印象。「ボールくれ!」みたいなアクションが多いけど、淡々とボールを引き出す興梠の動きを参考にした方が良い。
  • 遠藤康の動きは○。ラストパスの精度も高く、ボールも収まるので攻撃の核に。
  • 右MFに入った小笠原は低調なパフォーマンス。開幕から変わらず身体のキレが悪い。
  • 梅鉢は身体のキレが良く、中盤でのプレッシングの役割を一手に担う。中盤で苛烈なプレスをかけるのは梅鉢だけで、1人で2人分守備してる印象。ボールを奪いに行くのもバイタル埋めるのも梅鉢がやってる。
  • 梅鉢の欠点はプレスをかける時に突っ込みすぎてすぐ警告をもらってしまう事。あとは守備にエネルギーを使いすぎて攻撃にエネルギーを使えない事。しかしそれらを差し引いてもボランチの1stチョイスである事は間違いない。柴崎・梅鉢のコンビが見たい。
  • 青木は動きが鋭くなく、プレーの選択も凡庸。
  • 左SBに入った新井場は、パフォーマンスが戻ってきてる感。運動量は多くないけど、ボールを扱う安定感がある。あとスローインが実は上手い。
  • 後半にロングカウンターから遠藤康がボールをタメて右サイドの大迫に、大迫がワンタッチで中に入れて興梠がゲット。ずっと良い動きをしてた興梠・遠藤が報われるゴール。
  • 83分に新井場のバックパスを曽ヶ端が手で掴んだとして間接FK。これは意図したバックパスじゃないので普通に誤審。
  • 間接FKを決死のDFで止めたけど「動くのが早かった」的な感じでやり直しに。やり直しを決められる。このシーンは鮮明に覚えてる。
  • 興梠を下げてから前線に起点を作れず、攻められる一方の展開に。「これはキツいゲームだな…」という感じ。
  • しかし後半ロスタイムにジュニーニョが左サイドからカットインしてシュート、こぼれ球を遠藤康がゴール!勝ち越しゴール!!そのまま勝利!!!
  • これまでの6試合の中で最も「負けたくない」「勝ちたい」という気持ちの見えたゲームだった。レフェリーへの怒りなど、決してポジティブなエネルギーばかりではなかったけど、気持ちは見えた。これがやっぱりベースだと思う。
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2012年4節~6節までの感想

ゲームの内容としては徐々にマシにはなってきているものの、結果が出ないジョルジーニョアントラーズ。

勝てない試合が続く中でも流れを変えようと奮闘したのは梅鉢貴秀と興梠慎三。守備面で梅鉢が強度を出して相手から自由を奪い、攻撃面では興梠がボールを引き出して鹿島の攻撃のターンを作ってくれた。

その2人の奮闘が結実したのがFC東京戦。苦しい苦しいゲームだったけど、5節終了後に人目を憚らず涙を流したヤスが決勝点を上げたのはアツい。

気がかりなのはベテラン勢の動きの量と質。この時の鹿島の不調は小笠原満男の低調なパフォーマンスともリンクしているような気がする。キャプテンマークを巻くチームの顔がこのパフォーマンスではいけない。監督はどこかで小笠原を外す決断をする必要があったと思う。

開幕から4試合で別格のパフォーマンスを見せた柴崎、4節~6節まで守備の強度を上げてくれた梅鉢のボランチコンビが見たい。2トップは興梠と大迫で固まった感があるのは収穫。

戦術面では、FC東京戦のように一旦自陣に引いて守備を固めた所から試合に入るのがBetterだと思われる。この時の鹿島は特に明確なコンセプトも無いようなので、クロスを弾き返せる岩政・山村とボールを狩れる梅鉢の特性を守備で活かし、ボールが収まる興梠・大迫・遠藤を中心にロングカウンターを仕掛けるイメージが基本になりそう。守備陣の活動量を見る限り、前からプレスにいくのは自殺行為だと思う。

解説の人が度々「鹿島のセットプレー」に期待しているように、野沢がいなくなってからの鹿島はセットプレーに迫力が無くなった感はある。セットプレーでのゴールも欲しい。

とにかく1勝できて良かった……

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